対中関税賦課第3弾を発動、適用除外制度の官報記載なし
(米国、中国)
ニューヨーク発
2018年09月25日
米国政府は現地時間の9月24日、1974年通商法301条(以下、301条)に基づく第3弾の対中関税賦課を開始した。追加関税の対象は9月17日に米通商代表部(USTR)が発表した5,745品目(米国関税率表の上位8桁、一部品目は部分的に対象)(注1)で、対中輸入額2,000億ドル相当が該当する。追加関税率は2018年末までは10%、2019年以降は25%に設定されている(2018年9月18日記事参照)。
USTRは301条に基づく関税賦課の第1弾を7月6日(2018年7月9日記事参照)に、第2弾を8月23日(2018年8月24日記事参照)に発動している。これらの措置による関税賦課の対象額は計約500億ドルで、2,000億ドルを対象とする第3弾の関税賦課が実施されたことにより、米国の中国からの輸入額(2017年:5,055億ドル)の約半分に関税が賦課されることになった。トランプ大統領は、中国政府が譲歩しなければ、さらに2,670億ドル相当の対中輸入に関税を賦課すると発言している。
ピーターソン国際経済研究所(PIIE)の分析によれば、既に発動済みの第1弾と第2弾の関税賦課に占める消費財の輸入額の割合は全体の1%にとどまるが、第3弾は24%が消費財になっている。さらに、前述の2,670億ドルを対象にした第4弾の関税賦課では、全体の4割が消費財になる見込みだ(注2)。
10%の関税賦課には適用除外制度は設けない見込み
関税賦課を指示した官報(9月21日付)には、品目別適用除外に関する記載がない。第1弾と第2弾の関税賦課に関しては既に同制度が設けられており、官報にもそれぞれ同制度が記載されていた(注3)。通商専門誌「インサイドUSトレード」(9月20日)は、関係者の証言として、「少なくとも2018年末までの10%の関税賦課に関しては、品目別適用除外制度は設けない」とUSTRが議会に通知した、と報じている。
(注1)パブリックコメントや公聴会の結果を受けて、USTRが当初示していた対象リストから297品目が除外された。詳細は2018年9月20日記事参照。
(注2)2,670億ドルを対象とした具体的な品目リストは公表されておらず、PIIEが独自に、貿易統計などから試算したもの。
(注3)301条の適用除外制度の詳細は2018年9月19日記事参照。
(鈴木敦)
(米国、中国)
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