米シェブロン、水素・アンモニア開発の中心拠点としてメキシコ湾岸に注目

(米国、フランス、ドイツ)

ヒューストン発

2022年12月20日

米国石油大手シェブロン(本社:カリフォルニア州サンラモン)は12月19日、水素・アンモニア開発の中心拠点として米国メキシコ湾岸地域に注目していると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

同社は10月19日、フランスの産業ガス大手エア・リキード、米国の化学大手ライオンデルバゼル、ドイツのエネルギー大手ユニパーと、米国メキシコ湾岸地域における水素・アンモニア製造施設の開発に向けた共同研究で提携すると発表していた(2022年10月20日記事参照)。これら3社が米国メキシコ湾岸に注目した理由として、既存のエネルギーインフラが整っているためとしている。

また発表によると、水素は、天然ガスと同様に燃焼によるエネルギー生産が可能で、化石燃料の代替として、より低炭素なエネルギー源とされている。また、発電用エンジンや燃料電池に使用することで、より低炭素な電力の生成が可能という。一方、アンモニアは水素キャリアとして有効で、製造インフラも整っており、肥料としての市場も確立しているとされている。水素よりも輸送・貯蔵が容易で、石炭・ガスを用いた発電により、発電所の炭素強度(注)を下げることができるという。

そのほか、シェブロンが米国メキシコ湾に保有する海域は、計画中の水素・アンモニアプラントから回収された二酸化炭素(CO2)の安全な貯留に適した地質構造を備えているとし、大規模CO2回収・貯留(CCS)の可能性にも触れている。

シェブロンの直近の脱炭素化事業としては、11月にはJERAとアジア太平洋地域と米国の脱炭素分野などでの提携(2022年11月9日記事参照)のほか、商船三井とのCCUS向け液化CO2海上輸送事業開発での提携(2022年11月11日記事参照)を発表した。12月にはスウェーデンのベースロード・キャピタルとの地熱発電開発の合弁会社設立(2022年12月16日記事参照)、CO2回収・除去技術開発に向けカナダのスバンテのシリーズEラウンド出資(2022年12月19日記事参照)を発表している。

(注)エネルギー単位当たりのCO2排出量、すなわちCO2排出原単位を示す。炭素集約度とも呼ばれている。

(沖本憲司)

(米国、フランス、ドイツ)

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