EU理事会、英国の離脱協定締結に関わる決定採択

(EU、英国)

ブリュッセル発

2020年01月31日

EU理事会(閣僚理事会)は1月30日、英国のEU離脱協定締結に関する決定を採択外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。EU・英国はそれぞれ1月24日に同協定に署名(2020年1月27日記事1月24日記事参照)、29日には欧州議会本会議が承認(2020年1月30日記事参照)しており(英国議会での承認は1月23日成立の離脱協定法により省略)、これをもって、中央ヨーロッパ時間(CET)2月1日午前0時(英国時間1月31日午後11時)に予定される英国のEU離脱(ブレグジット)に向けた批准手続きが完了した。英国はこの日時をもってEU加盟国ではなくなり、EUにとって第三国となる。

ブレグジット以降も英国に相互主義求めるEU

ブレグジットと同時に離脱協定が発効し、移行期間に入る。移行期間が終了する12月31日まではこれまでどおり、EU・英国双方の企業や市民の経済活動が保障される。期間中、英国はEU諸機関の代表権を失うが、EU法の適用を受ける特殊な地位に置かれる。移行期間は1年または2年の延長を1回限り行うことができるが、延長のためには6月30日までに双方の合意が必要となる。

また、英国がEUから離脱した時点から、EU・英国の通商協定などを含む将来関係についての協議に双方が着手することになる。双方は移行期間中の合意を目指すが、EU・英国の新たな関係について何ら合意のない状況で移行期間が終了するリスクは依然として消えていない。これに対するEU側の警戒感は根強く、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長(2020年1月9日記事参照)、ミシェル・バルニエ首席交渉官(2020年1月10日記事参照)は相次いで、2020年末までの英国との包括合意実現は厳しいとの認識を明らかにしている。

今後の英国政府との協議の指揮をとるバルニエ首席交渉官は1月30日、スペインのペドロ・サンチェス・ペレス・カステホン首相との会談後、「われわれは(ブレグジット以降の)英国との間で、公平な競争条件が担保され、漁業問題にかかる合意を伴うかたちでの、緊密で公正な経済関係が必要という点で一致した」とツイッターに投稿。包括合意の前提に相互主義がある点をEU側として追求する構えだ。また、首席交渉官は、ブレグジット以降、英国がEUの国家補助や社会・環境基準などを下回る水準の政策を展開する場合、EU単一市場への質の高いアクセスを期待することはできないと発言(2020年1月28日記事参照)しており、今後もEU・英国間の激しい協議が想定される。

(前田篤穂)

(EU、英国)

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