欧州議会、英国との「離脱協定」を承認

(EU、英国)

ブリュッセル発

2020年01月30日

欧州議会本会議は1月29日、EU・英国間で合意された英国のEU離脱協定について、賛成:621、反対:49(棄権:13)で承認外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。これに先立つ審議の中で同議会各会派代表は、今回の採決の歴史的な意義について言及。その多くは、英国のEU離脱(ブレグジット)がEU・英国関係の終焉(しゅうえん)につながるわけではない、との認識を示した。ただ、この審議での発言者の多くは「離脱協定に定められた(移行期間などの)スケジュールを考慮すると、EU・英国の将来関係に関する交渉は難しいものになるだろう」と警鐘を鳴らすものだったという(2020年1月9日記事参照)。

EU・英国の将来関係構築を楽観しないEU

欧州議会のダビド=マリア・サッソーリ議長は、今回の採決結果を踏まえて「EU・英国の将来関係の在り方が問われる難しい状況が想定される」とコメント。EUとして、ブレグジット以降の状況を楽観していない姿勢を示した。

離脱協定は、英国での批准手続きが既に完了しているため(2020年1月24日記事参照)、30日のEU理事会(閣僚理事会)での特定多数決方式による最終採決(2020年1月24日記事参照)を経て、発効する見通しだ。これに伴い、移行期間が2月1日(中央ヨーロッパ時間)に始まり、12月末に終了する。EU・英国間の通商協定を含む将来関係についての合意を2021年1月1日に発効させるためには、双方の合意を移行期間の終了期日までに締結する必要がある。

なお、欧州議会のブレグジット問題対策グループ(BSG)の座長を務めるギー・フェルホフスタット議員(ベルギー選出)は同29日、ブレグジットは「EUの失敗だ」とツイッターでコメント。「このことから学ぶべき教訓がある」と述べ、真のEUになるには、リベート(注)などの例外のないEUでなければならないとの認識を明らかにし、そうすることで唯一、自分たちの利益と価値を守ることができるとした。

(注)特定の加盟国に適用される、予算の不均衡(拠出金と受取額)を是正するためのEU予算払戻金制度(EU予算の一部還付措置)。

(前田篤穂)

(EU、英国)

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