米ロサンゼルス港の混雑に改善の兆し、日本企業に協力を呼び掛け、港湾担当者に聞く
(米国)
ロサンゼルス発
2021年11月08日
ジェトロ・ロサンゼルス事務所は11月4日、北米最大のコンテナ取扱量を誇る米国ロサンゼルス市港湾局の森本政司氏(アシスタントディレクター)にインタビューを行い、港湾混雑の解消に向けた取り組みについて話を聞いた。
森本氏はまず、物流の混乱が長期化・深刻化し、港湾で大量のコンテナが滞留している要因として、新型コロナウイルス感染拡大による需給の大幅な変動に加え、港湾のキャパシティや港湾労働者、トラック運転手やシャーシの不足など、さまざまな問題が複合的に絡み合っている点を指摘した。その解決のためには、港湾だけでなく、船会社やフォワーダー、倉庫会社など物流企業、荷主、労働者などが協力して一つ一つの要因を地道に解きほぐすことが重要とし、バイデン政権がタスクフォースを設置し、米国全体の問題として省庁横断で対応していることに期待を示した。
その上で、バイデン政権が示したロサンゼルス港とロングビーチ港の24時間週7日体制化について(2021年10月14日記事参照)、森本氏は午後6時から午前3時までの現行の夜間シフトの有効活用がまずは重要と話した。森本氏によると、これまでは日中シフトの時間帯にコンテナの引き取りがフル稼働で行われる一方、夜間シフトの時間帯は稼働率が低く、30%の余裕があるという。この夜間シフトの時間帯にコンテナの引き取りを増やすことができれば、追加のコストを抑えつつ港湾全体の処理能力を引き上げることが可能、と説明した。
ロサンゼルス港とロングビーチ港に一定期間滞留したコンテナ1個につき、1日当たり累積的に100ドルのコンテナ超過滞留料金を海上輸送業者に課す方針(2021年10月28日記事、11月1日記事参照)について、森本氏は「港湾局が収益を得るためではなく、コンテナの滞留を早期に解消するための動機付けとして機能させることが最大の目的だ」と強調した。また、当該措置の開始日が11月15日以降とされている点に触れ、関係者の取り組みによりコンテナ滞留が改善した場合には、課金開始が回避される可能性についても言及した。
実際、上述の措置の効果や夜間シフトの強化もあって、両港ではコンテナの滞留に改善の兆しがみられている。ロサンゼルス港では、コンテナ超過滞留料金を課金する方針が発表された10月26日時点に比べて、11月3日時点で港にあるコンテナは9万1,300個から7万3,500個へと約20%減少した。9日以上滞留しているコンテナは3万9,000個から3万4,500個へと約12%減少している(「ロサンゼルス・デイリー・ニューズ」電子版11月4日)。また、ロサンゼルス港湾運営報告書(11月5日)によると、10月28日時点の過去30日のコンテナの平均滞留日数について、トラックで輸送する場合は9.7日で最長となっているが、鉄道で輸送する場合の平均滞留日数はピーク時の13.4日から4.5日まで低下した。
ロングビーチ港では、コンテナ超過滞留料金の課金対象となるコンテナが10月28日時点で約2万5,000個あったが、11月4日時点ではそれが約19%減少している(「ロサンゼルス・デイリー・ニューズ」電子版11月4日)。
森本氏は、関係者による地道な取り組みがこうした改善につながっているとし、日本企業に対しては、港湾に到着したコンテナを早急に引き取ったり、夜間シフトに合わせて倉庫の搬入時間帯を延長したりするなど、各社が可能な範囲内で物流の混乱を収束させる取り組みに努めるよう協力を呼び掛けた。
(永田光)
(米国)
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