EU理事会、入域制限解除国・地域リストを改定、米国などを追加
(EU、EFTA)
ブリュッセル発
2021年06月21日
EU理事会(閣僚理事会)は6月18日、EU加盟国と欧州自由貿易連合(EFTA)加盟国(注1)以外の国・地域からの不要不急の入域制限措置の解除に関する、2020年6月30日付理事会勧告(2020年7月1日記事参照)の対象国・地域リストを見直す勧告を発表した。今回の勧告により、新たに米国、台湾、アルバニア、レバノン、北マケドニア、セルビアが同リストに追加された。また、香港とマカオに関しては、相互主義の条件を撤廃した。両地域を含む中国は、既に同リストに含まれていたが、相互主義に基づくとして、これまで実質的には域内への入域制限が解除されていなかった。ただし、香港とマカオを除く中国本土に対しては、引き続き相互主義の条件を課すとした。EUは現在、EU理事会が指定した入域制限解除国からの入域を除き、原則として域外からの不要不急の入域制限を加盟国に求めている(注2)。今回追加された国・地域からの不要不急の入国を現在認めていない加盟国は、同勧告に基づき、入国の可否を判断するものとみられる。
EUでは既に、域外からの不要不急の入域制限を緩和する2021年5月20日付理事会勧告(2021年5月21日記事参照)で、例外的にワクチン接種完了者に対する不要不急の入域制限を原則撤廃する方針を決定しているが、今回の勧告に従えば、入域制限解除国・地域からの入域に関してはワクチン接種の有無に関わらず認められることになる。ただし、入域制限解除国・地域からの入域であっても、加盟国によっては、PCR検査の陰性結果証明の提出や自主隔離の実施などの条件(2021年2月3日記事参照)を満たす必要がある。
EU理事会の勧告に基づく、6月18日以降の不要不急の入域制限解除国・地域はアルバニア、オーストラリア、イスラエル、日本、レバノン、ニュージーランド、北マケドニア、ルワンダ、セルビア、シンガポール、韓国、タイ、米国、中国(香港およびマカオを含む)。ただし、中国(香港、マカオを除く)は、EUとの相互主義に基づく措置を取ることを条件とする。また、台湾も入域制限解除対象として明記された。
この対象国・地域リストは、今後も各国の疫学的な状況などを考慮して、定期的に見直しが行われる予定だ。
(注1)アイルランドを除くEU加盟国と、シェンゲン協定に加盟するアイスランド、ノルウェー、スイス、リヒテンシュタインが勧告の対象。本勧告で、アンドラ、モナコ、サンマリノ、バチカン市国の居住者はEU居住者と見なされる。
(注2)EU理事会の勧告には法的拘束力はなく、入国管理の権限を持つのは各加盟国で、EU理事会の勧告に基づき、それぞれ入国制限を実施している(ジェトロのウェブサイト特集「欧州における新型コロナウイルス対応状況」参照)。
(吉沼啓介)
(EU、EFTA)
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