EU理事会、域内外の移動に関する新たな制限措置を勧告

(EU、EFTA)

ブリュッセル発

2021年02月03日

EU理事会(閣僚理事会)は、新型コロナウイルス感染拡大に対する欧州の新たな協調策として、EU域内での移動の自由の制限に関する勧告PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(注1)を2月1日に、EU域外からの入域制限に関する勧告PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(注2)を翌2日にそれぞれ採択した。1月25日の欧州委員会による域内の移動の自由の制限に関する提案(2021年1月27日記事参照)と入域制限に関する提案(2021年1月27日記事参照)を受けたものだ。どちらの勧告も法的拘束力はないが、今後、EU加盟国ごとに勧告に沿った新たな制限措置が導入されることが予想される。

域外国からの入域の際に、出発前のPCR検査を義務化

EU域外からの入域制限に関する勧告では、旅行者の入域の目的にかかわらず、以下の追加措置の実施を加盟国に求める。

  • 一部の例外を除き、出発前72時間以内に受診したPCR検査の陰性結果証明の提出の義務化
  • 入域者に対して、14日間の自主隔離の実施、接触者追跡、追加検査の実施を求めることができることとする。特に、感染力がより高いとされる変異株が確認された国からの入域者に対しては、到着後の検疫と検査実施を課すべき。
  • 渡航者位置特定フォーム(Passenger Locator Form)の提出義務化

また、必須でない入域の制限解除が勧告されている域外国に対しても、変異株による感染が広範囲で確認された場合には、速やかに入域制限を実施することができる。日本は1日28日付で入域制限の解除対象国から除外されており、日本からの必須でない入域に対する制限の再導入が勧告されている(2021年1月29日記事参照)。

域内の移動でも、一部地域を対象に到着前検査を義務化

EU域内での移動の自由の制限に関する勧告に関しては、各国の感染状況に基づき、欧州疾病予防管理センター(ECDC)が実施する加盟国の地域レベルでの色分けに関して、これまでの「緑」「オレンジ」「赤」に加えて、特に感染状況が深刻な地域について新たに「濃い赤」で示すことで合意した。「濃い赤」は、過去14日間の10万人当たりの新型コロナウイルス新規感染者数の合計が500人を超える地域とする。

また、「濃い赤」「赤」の地域からの必須でない渡航の自粛要請に加えて、「濃い赤」の地域からの渡航の場合は、到着前の検査と入国後の自主隔離などの義務化といったより厳格な制限措置の導入を加盟国に求める。

(注1)EU域内での移動の自由の制限に関しては、EU加盟国に加えて、欧州経済領域(EEA)に参加するアイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタインに対する勧告となる。

(注2)EU域外からの入域制限に関しては、EU加盟国27カ国のうち、シェンゲン協定に加盟していないアイルランドを除くEU26カ国と、アイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタイン、スイスに対する勧告となる。

(吉沼啓介)

(EU、EFTA)

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