欧州委、入域前検査の義務化など新たな制限措置を提案

(EU、EFTA)

ブリュッセル発

2021年01月27日

欧州委員会は1月25日、EU加盟国および欧州自由貿易連合(EFTA)加盟国(注1)からなる域内への域外国からの入域制限に関する新たな勧告を、EU理事会(閣僚理事会)に提案した。この勧告案PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は、世界各地で確認された従来の新型コロナウイルスよりも感染力が高いとされる、新たな変異種による感染拡大の懸念に対応したものだ。

EUでは現在、域外国からの入域を制限しており、域外国からの入域が認められるのは、以下の場合に限られる。

  • 必要不可欠と認められた場合
  • EU国籍保持者・加盟国の長期滞在者とその家族の入域
  • 疫学的な状況などに基づく入域制限措置の解除に関する2020年6月30日付理事会勧告(2020年7月1日記事参照)で指定された解除対象国(日本を含む)など、各加盟国が解除を認めた域外国からの入域(注2)

日本からの渡航も新たな制限措置の対象に

今回の勧告案は、こうした現在認められている域外国からの入域を対象に、追加措置の実施を加盟国に求めるものだ。

  • 出発の72時間前までに受診したPCR検査の陰性結果証明の提出の義務化(ただし、EU国籍保持者・加盟国の長期滞在者とその家族の場合は、加盟国到着後の検査による代替を認める。また、交通・輸送従事者や越境労働者などに対しては、適用除外を一部認める)
  • 変異種が確認された国からの入域者に対する、最大14日間の自主隔離や接触者追跡などの一律実施
  • 渡航者位置特定フォーム(Passenger Locator Form)の提出の義務化

また、今回の勧告案は、2020年6月30日付理事会勧告における入域制限の解除対象国の追加・除外の判断基準を改正し、新感染者数、検査数、陽性率などの具体的な数値基準を設定するなど明確化を提案。さらに、変異種などの懸念事項も考慮すべきとした。

今後、この勧告案は採択に向けて、EU理事会で検討される予定だ。ただし、この勧告案は採択された場合でも、法的拘束力を有するものではなく、各加盟国は同勧告に基づき、追加措置の実施や域外国の入国制限解除の判断をすることになる。

(注1)シェンゲン協定に加盟するアイスランド、ノルウェー、スイス、リヒテンシュタインも勧告の対象。

(注2)入域制限の解除を決定するのは各加盟国だが、この勧告を受け、多くの加盟国は日本を含む入域制限の解除対象国からの、不要不急の入域に対する制限を解除している(入域制限解除対象国の最新版は、2020年12月21日記事参照)。

(吉沼啓介)

(EU、EFTA)

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