外資に関する奨励

最終更新日:2022年07月22日

奨励業種

2007年第25号投資法にて、労働者雇用、事業分野などに応じた奨励条件を規定。

投資法

インドネシア政府は、2007年4月26日付2007年第25号投資法(2020年11月2日付2020年第11号雇用創出法で改正)にて、次の条件を1つでも満たす事業を奨励する目的で、各種便宜を供与すると定めた〔投資法第18条(3)項〕。

  1. 多くの労働者を雇い入れる。
  2. 高い優先分野に含まれる。
  3. インフラ開発を含む。
  4. 技術移転を実施する。
  5. 先駆的な事業を実施する。
  6. 辺境地、後進地、境界地域またはその他必要とみなされる地域への投資。
  7. 自然環境保護の維持を行う。
  8. 研究開発、革新活動を行う。
  9. 零細・中小企業または協同組合とパートナーシップを締結する。
  10. 国産の資本財、機械または設備を利用。
  11. 観光事業の拡張を含む。

各種優遇措置

特定の投資に対する法人所得税一時減免(タックスホリデー)、特定業種・地域への投資に対する法人所得税便宜(タックスアローワンス)、労働集約型産業向けの法人税軽減とグロス所得の軽減(インベストメントアローワンス)、保税区内の優遇措置、特定の投資に対する機械・原材料の輸入関税免除措置(マスターリスト)、自由貿易地域および自由貿易港、経済統合開発地域(KAPET)に所在する企業に対する優遇措置、経済特区。

タックスホリデー制度

大統領規程2021年10号(大統領規程2021年第49号で改訂)にて投資優先事業分野に指定された分野のうち主にパイオニア産業の18分野に対し、租税総局長が決定した商業生産の開始より5年から20年にわたり、投資額に応じて法人税を50%または100%減額する便宜を供与できるとされている。

法人税の減免内容
  1. 投資額1,000億ルピア以上5,000億ルピア未満:商業生産開始から5年間50%減額
  2. 同5,000億ルピア以上1兆ルピア未満:同5年間100%減額
  3. 同1兆~5兆ルピア:同7年間100%減額
  4. 同5兆~15兆ルピア:同10年間100%減額
  5. 同15兆~30兆ルピア:同15年間100%減額
  6. 同30兆ルピア以上:同20年間100%減額

この年数を経過した後さらに2年間、投資額1,000億ルピア以上5,000億ルピア未満で法人税額の25%、5,000億ルピア以上で50%、それぞれ減額の便宜を与えることもある。

タックスアローワンス制度

大統領規程2021年10号(大統領規程2021年第49号で改訂)にて投資優先事業分野に指定された分野のうち183分野について、特定の事業分野、特定の地域への既存の投資に対し法人税に関わる便宜が供与される。

税制優遇内容
  1. 課税所得の控除:投資額の30%までを年5%ずつ6年間、課税所得から控除
  2. 減価償却期間の短縮:耐用年数を通常の2分の1に短縮(減価償却の加速)
  3. 外国配当課税率の引き下げ:外国への配当にかかる税率を10%に軽減
    (ただし、租税条約が定める税率がこれより低い場合はその率を適用)
  4. 欠損金繰り延べ期間の延長:欠損金の繰り延べ期間を次の条件を満たすごとに次の期間延長する(最長10年まで)。
条件
  1. タックスアローワンスの基本条件を満たした投資(1年延長)
  2. 工業地帯・保税地区での投資(1年延長)
  3. 新/再生エネルギー分野での投資(1年延長)
  4. 地域の経済・社会インフラに100億ルピア以上投資(1年延長)
  5. 投資後2年目から国内原料を70%以上使用(1年延長)
  6. 300人以上のインドネシア人労働者を追加雇用して4年以上継続(1年延長)、600人以上の追加雇用を4年以上継続(2年延長)
  7. 5年以上、総投資の5%について研究開発費支出(2年延長)
  8. 保税区外に所在する場合で総売り上げの30%以上の輸出(2年延長)

インベストメントアローワンス制度

大統領規程2021年10号(大統領規程2021年第49号で改訂)にて投資優先事業分野に指定された分野のうち45分野には、労働集約型産業向けの法人税軽減とグロス所得の軽減の便宜が供与される。

税制優遇内容
  1. 労働集約型産業に投資する納税者には、商業稼働開始時の税務年度から6年間、年10%のペースで、メインストリームの事業活動に使用される、土地を含む有形固定資産の投資額の60%までネット所得を軽減する形で法人税軽減便宜が供与される。所得税便宜を受けようとする投資にインドネシア人労働者を少なくとも300人雇用することが条件。
  2. 労働訓練、実習、および/あるいは学習の活動に支出されたコスト総額の最大200%相当のグロス所得軽減措置が供与される。

特定の投資に対する機械・原材料の輸入関税免除措置(マスターリスト)

事業開始・拡大時の機械(設備)・物資・原材料(※)の輸入にかかる関税は免除される。新規/拡張投資にも適用できる。大統領規程2021年10号(大統領規程2021年第49号で改訂)にて投資優先事業分野に指定された計246分野が対象。

(※)「国内でまだ製造されていない」、「製造されているが必要とする仕様を満たしてない」、「製造されているが必要とする数量に達していない」ものに限られる。

経済特区制度(15地域)

経済特区における投資について、ネガティブリストの不適用(規制分野に対する外資出資100%可)、タックスホリデー・タックスアローワンスの優先適用、輸入関税の留保(保税)、輸入にかかる諸税(付加価値税、前払い法人税、奢侈税)の不徴収などの便宜を供与。外資出資規制をはじめとした条件付き投資規定も、経済特区には適用されない。

対象地域
  1. ジャワ島:タンジュンレスン(観光産業)、シンガサリ(観光産業、技術開発)、クンダル(輸出加工、ロジスティック産業、工業)、リドー(観光産業)、グレシク(金属(銅スメルター、鉄)、電機、化学、エネルギー産業、ロジスティック)
  2. スマトラ島:セイマンケイ(パームオイル、ゴム産業等)、アルンロクスマウェ(石化産業等)、ガランバタン(ボーキサイト、アルミナ産業等)
  3. スラウェシ島:パル(ニッケル、カカオ、海藻、ラタン産業等)、ビトゥン(水産、ココナツ産業等)、リクパン(観光産業)
  4. カリマンタン島:マロイバトゥタトランスカリマンタン(パームオイル、木材産業等)
  5. ロンボク島:マンダリカ(観光産業)
  6. バタム島:ノンサ(リサーチとデジタル経済および技術開発、観光、教育、創造的産業、他)、バタム・アエロ・テクニック(製造と加工、ロジスティックとディストリビューション、リサーチとデジタル経済および技術開発、他)
  7. その他:モロタイ(観光産業)、タンジュンクラヤン(観光産業)、ソロン(物流等)

自由貿易地区

バタム島、ビンタン島、カリムン島、およびアチェ特別州のサバン島地域について、輸入関税の留保(保税)、輸入にかかる諸税(付加価値税、前払い法人税、奢侈税)の不徴収などの便宜を供与。

ジェトロ:インドネシア 外資に関する奨励「各種優遇措置」詳細PDFファイル(267KB)

その他

特になし。