技術・工業および知的財産権供与に関わる制度

最終更新日:2022年07月22日

技術・工業および知的財産権供与に関わる制度

知的財産権関連の法律、知的財産権にかかわる細則

知的財産権関連の法律
  1. 営業秘密法〔2000年12月20日付法律第30号〕
  2. 産業意匠法〔2000年12月20日付法律第31号〕
    産業意匠権は登録から10年間保護される。
  3. 集積回路配置設計法〔2000年12月20日付法律第32号〕
    集積回路配置設計権は10年間保護される。
  4. 特許法〔2016年8月16日付法律第13号、2020年11月2日付法律第11号雇用創出法で改正〕
    特許権は登録から20年間、インドネシア独自の小特許権は同10年間保護され、その後の延長は不可。
  5. 商標・地理的表示法〔2016年11月25日付法律第20号、2020年11月2日付2020年第11号雇用創出法で改正〕

    商標権には、商品に使用するものと、役務に使用するものとがあり、保護対象は図形、ロゴ、名称、言葉、文字、数字、色の構成、2D/3D形状、音、ホログラムとこれらの結合で、保護期間は10年。

    地理的表示の保護対象は、特定の地理的地域で産出される天然資源や手工芸品で、これらの産出を業とする当該地域の住民を代表する社会団体、州政府や県/市政府が登録を申請。保護決定の基礎となった評判や品質、特徴が維持される限り、地理的表示は保護される。

  6. 著作権法〔2014年10月16日付法律第28号、雇用創出法で改正〕
    科学・芸術・文学分野の著作物は、著作者の生存中と死去の翌年1月1日から70年間、著作権が保護される。
    ただし、法人が所有する著作権の保護期間は、初回公表時から50年。

知的財産権にかかわる細則

工業デザイン権の登録手順〔2005年1月4日付政令2005年第1号〕

工業デザインのサンプル、図面、写真、説明を添付して法務人権省知的財産権総局へ申請(有料)。申請審査、公告、実物検査(公告で異議が申し立てられた場合)を経て、工業デザイン証明の発行を受ける。
新規性が認められないデザイン、法規や公共秩序、宗教・道徳に反するようなデザインには、工業デザイン権は認められない。
工業デザイン権者の登録内容の変更や工業デザイン権の譲渡・移転についても、同総局へ申請する。

知的財産コンサルタント〔2005年1月4日付政令2005年第2号〕

特許や商標、工業デザイン権、著作権等の登録申請代理人となる知的財産コンサルタントは、法務・人権省知的所有権総局への知的所有権の申請およびその手続きサービスを供与する者で、同総局指名の高等教育機関が開く知的所有権コンサルタント・トレーニングを終了し、同総局に登録・任命される必要がある。
任命後も5年ごとに同総局の評価が行われ、手掛けた申請業務が年10件を下回る等の場合、登録は取り消される。

政府が資金支援した調査・開発の成果の取扱い〔2005年5月19日付政令第20号〕

政府が資金支援した調査・開発により得られた知的財産技術や調査・開発成果の所有、調査・開発機関の権利、技術移転の方式やメカニズム等について定めたもの。

中央政府あるいは地方政府が全面的に資金支援した高等教育機関や調査・開発機関による調査・開発活動の成果、ならびに同活動から得られた知的財産技術の所有権は当該政府にあり、該当する知的財産技術ならびに調査・開発成果を社会・地方・国のために利用することを決定・監督する権限を有する。

  1. 知的財産技術や調査・開発成果の所有

    知的財産技術ならびに調査・開発成果の取扱いは、調査・開発機関に委任される。
    調査・開発機関には、知的財産技術ならびに調査・開発成果を他者に譲渡する権利はないが、次の事項は認められる。

    1. 当該知的財産技術ならびに調査・開発成果が、調査・開発機関の一部として、調査・開発活動を行った個人・グループ・機関、高等教育機関や調査・開発機関によるものであること。
    2. 当該知的財産技術ならびに調査・開発成果に対する報酬を受け取ること。

    一方、中央/地方政府に加えて、他者の資金支援を得た調査・開発機関による調査・開発活動の成果、ならびに同活動から得られた知的財産技術は、資金支援を実施した政府と他者の共同所有となる。
    この共同所有は、当該の調査・開発機関とこの他者が現行法規に従った契約を結ぶことで実現する。

  2. 知的財産技術や調査・開発成果の共同所有

    共同所有権は、合意済の貢献度に従って定められるもので、共同所有者にはこの他に次の権利が認められる。

    1. ライセンスまたは調査・開発のための優先利用
    2. 貢献度に従った報酬の獲得
    3. 知的財産技術ならびに調査・開発成果に対する保護

    また、ある一方の関係者が当該知的財産技術ならびに調査・開発成果を商業利用した場合、残りの関係者はロイヤルティーあるいは報酬を、合意済みの貢献度に応じて取得。これについては、事前に関係者間で契約しておくことが望ましい。

  3. 知的財産技術や調査・開発成果の移転・利用

    政府が全面的に資金支援した知的財産技術ならびに調査・開発成果は、科学技術の利用や発展、中小企業の支援の目的で、知的財産技術ならびに調査・開発成果の運営を任される調査・開発機関とのライセンス契約、協力契約、コンサルティングや調査・開発、教育等の科学技術サービス契約、知的財産技術ならびに調査・開発成果の発表を通じて、移転・利用することが認められる。
    この移転・利用はインドネシア国内の居住者が優先で、公共の秩序や法規に反するものであってはならない。

    一方、政府と調査・開発活動の資金の一部を支援した他者との共同所有になっている知的財産技術ならびに調査・開発成果の移転・利用は、関係者の権利と義務、移転の条件とメカニズム、法的保護、ロイヤルティーや報酬などについて調査・開発機関と当該他者との間で事前に定められた契約に基づいて実施する。
    この移転・利用もインドネシア国内の居住者が優先で、公共の秩序や法規に反するものであってはならない。

集積回路配置設計の登録手順〔2006年4月3日付政令2006年第9号〕

集積回路配置設計の登録は、法務人権省知的財産総局長宛にインドネシア語で提出する。審査の結果、条件を満たした設計には、集積回路配置設計証明書が発行される。

1デザインにつき1申請。申請には次の書類が必要である。

  1. 設計図の写しまたは写真
  2. 委任状(代理人申請の場合)
  3. 当該設計が申請者あるいは設計者のオリジナルであることの表明書
  4. 最初の商業開発日/場所(申請前に商業開発された場合)
  5. 申請料支払証明書
  6. 申請者の当該設計に対する権利についての表明書

Optical Disc関連商品の知的財産権保護対策〔2005年7月25日付工業大臣規定2005年第11号(No.11/M-IND/PER/7/2005)〕

対象はOptical Disc製造機械および機器16種、Polycarbonate Optical Grade原材料3種、ブランクあるいはデータ等の入ったOptical Disc20種で、工業省(Kementerian Perindustrian)ウェブサイトの法令ページで該当するHSコード等を確認できる。

工業省:法令のページ(Daftar Peraturan Menteri Perindustrian外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

本規定では、Optical Discの機械および機器の調達に技術要件、使用方法、製造元、原産国を添付しなければならないほか、各種の機械・機器ごとにSource Identification CodeSID Code)による認証記載等が規定されている。

Polycarbonate Optical Grade原材料の調達には、製造者からのCertificate of AnalysisLot Numberに則していること、梱包は最低500kgでロゴ/商標、製造者名、Lot Number、原産国、重量、Polycarbonateの種類を記載することなどが定められている。

また、ブランクのOptical Discは、データを入れたような痕がまったくない状態でなければならず、データ等が入ったOptical Discは著作権者よりの表明書、契約書、あるいはライセンス・コピーを添付し、SID Codeを記載すること。
ビデオの形のOptical Discの場合は、インドネシア映画検閲庁の検閲合格証も必要である。

特許権の譲渡〔2010年6月7日付大統領令2010年第37号〕

相続、贈与、遺言、文書による取り決め等により特許権を譲渡する場合は、その譲渡について知的財産権総局に登録しなければならない。
申請には、特許登録証明書と登録申請費用の納付証明書、年間登録費用の納付証明書、相続、贈与、遺言など譲渡の理由を証明する書類などを添付。
申請が不備なく受理されてから30日以内に譲渡登録の通知があり、譲渡登録証明書が発行される。
また、譲渡についての登記も行われ、特許公報に掲載される。

知的財産ライセンス契約の登記〔2018年7月26日付政令2018年第36号、2016年2月24日付法務人権大臣規定2016年第8号〕

特定の条件の下、特定の期間、知的財産の権利を独占的に使用できる権利(hak eksklusif)を、該当する知的財産の権利者あるいは権利の保有者が許諾することを文書にまとめた知的財産ライセンス契約は、ライセンサー、ライセンシー、あるいはこれらの代理人(ライセンサーが海外に所在する、または外国人の場合)によって法務人権省に登記される。

ライセンス契約の写し、あるいはライセンス契約の証明、および特許権/商標権/意匠権/集積回路配置利用権の証明書(Certification)または著作権/営業秘密の専有証明の写し、手数料納付証明を、法務人権省知的財産総局ウェブサイトにアップロードして申請する。外国語で結ばれたライセンス契約の場合は、インドネシア語訳が義務。
当該の知的財産が保護期間にあること、国家経済の利益を阻害しないこと、技術開発・占有・移転の支障にならないこと、不健全競争を生まないこと、法規や秩序などに反しないことを誓約した文書も求められる。
審査で不備なしと認められれば、ライセンス契約は登記され、登記の事実が知的財産総局ウェブサイトで公告される。登記はライセンス契約が有効な限り有効で、再申請も可。

知的財産権のオンライン申請化〔2016年11月22日付法務人権大臣規定2016年第42号〕

著作権、特許権、商標権、地理的表示、意匠権、営業秘密、集積回路配置利用権の登録申請を、知的財産総局が運営するオンライン・システム、知的財産情報システムSIMPONIを通じて行うことに決めた。
登録料の納付もコードビリングを使用して行う。

知的財産権の侵害が疑われる物品の輸出入規制〔2017年5月30日付政令2017年第20号、2018年4月13日付財務大臣規定2018年第40号No.40/PMK.04/2018〕

知的財産権の侵害の疑いがある物品の輸出入を、商業裁判所の命令に従い差し止めることがあるほか、税関職員がその権限で一時差し止めることができることを定めた。
税関における一時差し止め措置を可能にするため、商標権・著作権の権利者は税関総局記録システムへデータの登録を申請できる。

特許の実施義務〔2018年7月11日付法務人権大臣規定2018年第15号〕

特許権者はインドネシア国内で製品の製造、またはその方法の使用を実施し、技術移転や投資吸収、雇用創出を推進しなければならないとされた。製品の製造または方法の使用がインドネシア国内で実施できない場合、特許権の付与日から3年以内に、最長5年の実施猶予を法務人権大臣に申請することができる。

地理的表示の登録〔2019年6月19日付法務人権大臣規定2019年第12号(2022年4月25日付法務人権大臣規定2022年第10号で変更)〕

地理的表示の登録は法務人権省知的財産総局のウェブサイトを通じてオンライン申請する。申請者は、天然資源や手工芸品、産業品を事業とする、特定の地理的地区内の社会を代表する機関、または州・県/市政府。申請から30日以内に審査が行われ、申請受理日から15日以内に公報で公示する。公示は2カ月間で、この間に利害関係者らからの異議申し立てを受け付ける。公示終了から10日以内に実体審査が促され、それから60日以内に実体審査を申請。実体審査は申請受理から150日以内に行われ、明細の評価が行われる。実体審査により要件が満たされていることが認められた場合、法務人権大臣が地理的表示の登録を承認し、公示する。
地理的表示製品の包装にはインドネシア地理的表示ロゴを表示し、地理的表示認証番号とインドネシア地理的表示製品由来コードを記載することが義務付けられる。

特許強制実施ライセンス〔2019年12月6日付法務人権大臣規定2019年第30号(2021年1月29日付法務人権大臣規定2021年第14号にて変更)〕

特許権者が特許権取得後36カ月以内にインドネシア国内で製品製造やプロセスの使用といった義務を果たさなかった場合、特許権者やライセンス受理者が社会の利益を損なうような形や方法で特許権を行使した場合、あるいは他の特許権を利用しないとある特許権を行使できないような場合、主に国内市場の必要性を満たす目的で、特許権を行使させるためのライセンスである特許強制実施ライセンスを申請・取得できる。

著作権と著作隣接権の登録〔2020年2月26日付政令2020年第16号〕

著作権および著作隣接権に関する著作物の登録には、以下の情報を提出して、法務人権大臣宛て電子出願する。

  1. 出願の年月日
  2. 著作者、著作隣接権者、およびその権利保有者の名前、住所、国籍
  3. 委任者による出願の場合は、委任者の名前、住所、国籍
  4. 出願する著作物/著作隣接権作品の種類とタイトル
  5. 出願する著作物/著作隣接権作品が初めて公開された日と場所
  6. 出願する著作物/著作隣接権作品に関する説明

出願には以下の書類が必要。

  1. 出願者の身分証明書コピー
  2. 出願者が法人の場合は、法人の設立証書コピー
  3. 著作物/著作隣接権作品のサンプルまたはその代替物(電子書籍、コンピュータ・プログラムのソフトコピー、模型や彫像の写真、歌謡の歌詞・楽譜・録音など)
  4. 著作物/著作隣接権作品の保有者であることの表明書
  5. 著作者が財産権を譲渡している場合は、その権利譲渡書
  6. 複数者による共同出願の場合は、出願代表者に対する各出願者の合意書
  7. 委任者による出願の場合は委任状
  8. d、e、fがインドネシア語以外で記されている場合は、インドネシア語の翻訳
  9. 手数料の支払い証書

出願条件と出願書類の完備が確認され、著作原簿に同様の著作物または知的財産が登録されていないことが明らかであれば、9カ月以内に著作原簿に登録される。