為替管理制度
最終更新日:2023年02月13日
- 最近の制度変更
管轄官庁/中央銀行
EU経済・財務相理事会(ECOFIN)、欧州中央銀行(ECB)、加盟国中央銀行
EU経済・財務相理事会(Economic and Financial Affairs Council:ECOFIN)
ECOFINは各加盟国の経済および財務相による閣僚理事会で、自国政府を代表して取決めを結ぶ権限を有する閣僚レベル代表者1人ずつから構成される。議題の緊急性に応じて開催され、少なくとも月1回は開かれる。なお、これとは別に、ユーロを法定通貨とする加盟国の経済・財務相はユーログループを形成している。通常はECOFINの会合の後、非公式な会合を行っている。
欧州中央銀行(European Central Bank:ECB)
ECBは1999年1月1日に、欧州中央銀行制度(European System of Central Banks:ESCB)により定義されていた欧州金融政策の実行責任を委譲された。前身は欧州通貨機構(European Monetary Institute:EMI)。ECBの決定機関は政策理事会(Governing Council)と運営委員会(Executive Board)である。ECBの任務は、貨幣流通量の管理、外国為替オペレーションの運営、加盟国の公式外貨準備高の保有および管理、決済システム機能の円滑化促進である。
為替相場管理
変動相場制
ユーロ導入、欧州為替相場メカニズムII(ERM II)
欧州連合(EU)では、対外的には、変動相場制を採用している。加盟19カ国で欧州単一通貨ユーロが導入されており、一部のユーロ非参加の加盟国との間で、欧州為替相場メカニズム(ERM II)に基づく準固定為替相場制を採用している。
ユーロ導入
現在、EU加盟20カ国において、欧州単一通貨ユーロが導入されている。1999年1月から11カ国(ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、スペイン、ポルトガル、アイルランド、オーストリア、フィンランド)で、2001年からギリシャで、2007年からスロベニアで、2008年からキプロスおよびマルタで、2009年からスロバキア、2011年からエストニアで、2014年からラトビアで、2015年からリトアニアで、2023年1月1日からクロアチアでユーロを導入。ユーロ貨幣の流通開始は2002年1月1日。
国 | 通貨換算率 | 現地通貨 |
---|---|---|
ベルギー | 40.3399 | ベルギーフラン |
ドイツ | 1.95583 | ドイツマルク |
ギリシャ | 340.750 | ギリシャドラクマ |
スペイン | 166.386 | スペインペセタ |
フランス | 6.55957 | フランスフラン |
アイルランド | 0.787564 | アイルランドポンド |
イタリア | 1936.27 | イタリアリラ |
ルクセンブルク | 40.3399 | ルクセンブルクフラン |
オランダ | 2.20371 | オランダギルダー |
オーストリア | 13.7603 | オーストリアシリング |
ポルトガル | 200.482 | ポルトガルエスクード |
フィンランド | 5.94573 | フィンランドマルカ |
スロベニア | 239.640 | スロベニアトラル |
キプロス | 0.585274 | キプロスポンド |
マルタ | 0.429300 | マルタリラ |
スロバキア | 30.126 | スロバキアコルナ |
エストニア | 15.6466 | エストニアクローン |
ラトビア | 0.702804 | ラトビアラト |
リトアニア | 3.45280 | リトアニアリタス |
クロアチア | 7.53450 | クロアチアクーナ |
欧州為替相場メカニズムII(ERM II)
欧州為替相場メカニズムII(ERM II)は、EU加盟国のうち、ユーロ非参加国の通貨とユーロ間の為替相場を安定させるための仕組みで、1999年1月に採用された。EUにおける経済通貨同盟(EMU)の実現やユーロ導入に向け、加盟各国の通貨変動の安定性を確保することを目的に1979年に導入された欧州為替相場メカニズム(Exchange Rate Mechanism:ERM)の後継システムとなる。
ERM IIへの参加国は、自国通貨の変動幅をあらかじめ設定した対ユーロ中心交換レートの±15%以内に抑えることが必要となる。規定範囲を超える為替相場変動が生じる際は、欧州中央銀行(ECB)と当該国の中央銀行が共同で為替介入を行う。なお、ERM IIへの参加は原則的に任意とされているが、ユーロ導入を希望している場合は、ERM IIに2年以上参加していることが要件となる。ERM II参加国の大部分はユーロ導入を果たしており、現在の参加国はデンマーク、ブルガリアとなっている。
貿易取引
各国の法規により原則自由
貿易外取引
各国の法規により原則自由
資本取引
各国の法規により原則自由
関連法
ユーロ導入に関する法令、欧州為替相場メカニズムII(ERM II)に関する法令
ユーロ導入に関する法令
- ユーロ導入に関する1998年5月3日付理事会規則974/98(Council Regulation (EC) No 974/98 of 3 May 1998 on the introduction of the euro)
- ユーロ導入に関する特定の規定に関する1997年6月17日付理事会規則1103/97(Council Regulation (EC) No 1103/97 of 17 June 1997 on certain provisions relating to the introduction of the euro)
なお、理事会規則974/98制定時にユーロ導入が確定していた11カ国以外の新規導入国に関する規定は、次の改正規則に定められている。
ユーロ導入に関する理事会規則974/98を改正する理事会規則2596/2000(ギリシャ)、1647/2006(スロベニア)、835/2007(キプロス)、836/2007(マルタ)、693/2008(スロバキア)、670/2010(エストニア)、678/2013(ラトビア)、827/2014(リトアニア)、2022/1207(クロアチア)
欧州為替相場メカニズムII(ERM II)に関する法令
- 経済通貨同盟(EMU)の第3段階における為替相場メカニズムの運用手続きを規定する欧州中央銀行とユーロ非参加国の中央銀行間の協定(Agreement of 16 March 2006 between the European Central Bank and the national central banks of the Member States outside the euro area laying down the operating procedures for an exchange rate mechanism in stage three of Economic and Monetary Union)
その他
特になし。