瀧 幸乃

INTERVIEW 日本を世界へ。世界を日本へ。

スタートアップ支援を通じて
日本の国際化とイノベーション促進に貢献したい

瀧 幸乃

Taki Sachino

イノベーション・知的財産部 
スタートアップ支援課
2016年新卒入構

再認識したアイデンティティ。“日本”のPRパーソンに。

小さい頃は日本が嫌いでした(笑)。幼少期をアメリカで過ごした私は、日本社会の同調圧力が息苦しく、学生時代は「多様な個性が尊重されない日本から早く出たい」というネガティブな海外志向を募らせていたほどです。その考えが180度変わったのは、大学時代のボストン留学とニューヨークのPR会社でのインターンがきっかけでした。実は、インターンをしていたPR会社がJETROの委託先だったのです。ここで初めてJETROという組織の存在を知りました。

インターン生として、米国市場向けの日本酒テイスティングイベントのPRや、ボストンで毎年開催される農水産食品を扱う商談会のサポートに携わりました。多様な環境である留学先で、自分が日本人であるというアイデンティティを強く感じるようになったこともあり、実際にインターン生としてJETROの仕事に携わる中で、海外にいながらも自分の母国である日本のために貢献できる仕事に強い魅力を感じました。

もともと、PRというコミュニケーションの分野で世界を舞台に仕事をしたいと思っていた私は、「JAPANブランドを海外に発信できるJETROの仕事はまさに自分がやりたかったことだ!」と感じました。日本として誇るべきものは、胸を張って広報したい。自分がこれまで息苦しいと感じてきた日本社会に足りない多様性や異なる価値観に対する寛容さは、広く世界と関わりながら補っていけばいいと、自分の中の価値観が180度変わりました。

入構後は日本という国を世界各国に発信することで、日本にはない技術やアイディア、人材を日本に呼び込む対日投資部を皮切りに、インドでの1年間の海外実務研修を経て、イノベーション・知的財産部へ。部内でも日本大手企業と海外スタートアップのオープンイノベーションを促進する部署から日本スタートアップの海外展開を支援する現部署への異動があり、現在は入構 5年目で4つめの部署ということになります。

この間、幼い頃から抱いてきた「ひとりひとりの個性が活かされる多様性に寛容な社会にしたい」という想いの軸は少しもブレることなく、職場環境や業務内容が変わるごとに、私の中で益々強くなっています。

多様な価値観が出会ってイノベーションが生まれる

対日投資部に配属された当時、部内では海外のスタートアップを積極的に誘致する機運が高まっていました。日本にはない技術やサービスがもたらす国外からのインパクトによって、日本国内でのイノベーションを促す。まさに、日本の多様化や国際化の促進にもつながる取り組みです。私自身の志向にぴったり合致する方針でもあり、2年半在籍した対日投資部時代は台湾やインドなどアジアを中心とする国々で、スタートアップやイノベーションに特化した対日投資セミナーの企画や実施に精力的に携わりました。

インドでのセミナー主担当として、役員のスピーチ原稿の執筆をしていた時に、「インド・シフト」という本と出会い、私はインドのベンガルールという都市がITやイノベーションの中心地として世界から注目を集めていることを知りました。入構3年目、海外実務研修先にベンガルールが含まれていることを知り、この都市一択で希望を出し、現地に研修生として派遣してもらうことになりました。

南インドにあるベンガルールは、「インドのシリコンバレー」とも呼ばれるITイノベーションの先進地で、インド有数の工科大学も立地し、GAFAをはじめとする世界的なIT企業に優秀な人材を多数送り出しています。テクノロジーに関する知識やスキル、語学力・交渉力などの高度なコミュニケーション能力、柔軟性とスピード感、そしてハングリー精神を兼ね備える優秀な方々と現地でやりとりする中で、こうした世界で戦うことのできる優秀な人材を日本企業に取り込むことができれば、日本企業の技術開発・イノベーション促進、そしてグローバル展開に大きく貢献してくれるのではないかと思うようになりました。

「グローバルな出会いの場」をプロデュースする

スタートアップ支援課の使命は、日本のスタートアップ企業のグローバル展開を支援することです。その中で私は現在、2つのプロジェクトを担当しています。ひとつは、インドのイノベーション人材採用支援事業です。日本政府の支援により設立されたインド工科大学ハイデラバード校というインド理系最高学府の1校で、日本企業による就職説明会「JAPAN DAY」を2018年からJICAと共催しています。今年はコロナの影響で初めてリモート開催となったものの、日本企業・インド人学生ともに過去最多となる20社、400名以上が参加し、オンライン上で交流を深めました。この出会いがきっかけで、実際にインターンや本採用に至った企業がでてきています。

もうひとつは、毎年1月に米国・ラスベガスで開かれる世界最大規模のテクノロジー見本市「CES」への出展支援事業です。CES 2021に関しても、初のオンライン開催ですが、官民連携で有望なスタートアップを支援するJ-Startupの参加企業をはじめ、約50社のスタートアップ企業の出展が決まっています。総合プロデュースを担う私は、海外メディアへの露出対策、集客のためのJAPANセッションの企画、各社のPR動画の制作支援など、開催に向けて奔走中です。

こうした「グローバルな出会いの場」を活かしたスタートアップが、海外で躍動する未来。そこには、かつて日本の成長を牽引し、日本の真価を世界に示したレジェンド企業のように、世界中で愛され尊敬される、次世代の日本企業の姿があるかもしれません。日本のスタートアップが世界で活躍する日を目指し、日本と海外の架け橋として貢献していきたいと思います。

「CES」は世界最大規模のテクノロジー見本市。近年は、大手企業だけではなく、イノベーティブな製品・技術を披露するスタートアップの出展に注目が集まっている。CES 2019より、スタートアップ出展エリアに「J-Startupパビリオン」を設置してきたが、3年目を迎えるCES 2021は完全デジタルで開催された。

MY FUTURE

いずれは駐在員として再び世界の最前線に立ちたいです。日本人としての誇りとグローバル人材としてのマインドセットをバランスよく兼ね備え、生きた情報で赴任国と日本をつないで、Win-Winの関係を生み出していきたいと考えています。

OFF TIME

一週間の楽しみは、週末の朝一でヨガに行くことです。インド駐在時からずっと続けており、ヨガをすることで心身がリセットされ、とても前向きな気持ちになれます。

ONE DAY SCHEDULE

  • 08:30

    始業。まずはメールチェック/企業からの問合せ対応

  • 10:00

    CES外部アドバイザーとの打ち合わせ

  • 11:00

    毎週1回の課内会議でプロジェクトの進捗状況を報告。

  • 12:00

    昼休み。

  • 13:00

    CES J-Startup独自のウェブページ制作に向けて、委託先との調整。

  • 15:00

    CES出展企業と海外PRメンターとのオンライン面談

  • 17:00

    JAPANセッションの企画、シナリオ、スピーチ原稿等の資料作成

  • 19:00

    終業。

※CES会期前の例