バイデン米大統領、学生ローン債務を1人1万ドル免除、支払い停止措置も12月末まで延長
(米国)
ニューヨーク発
2022年08月25日
米国のジョー・バイデン大統領は8月24日、連邦政府への学生ローン債務について、1人最大1万ドルの債務を免除すると発表した。同時に、新型コロナウイルス対応で導入された債務返済一時停止措置も2022年12月末まで延長すると発表した。同措置は2021年4月にも延長されており、2022年8月末が期限だった(2022年4月11日記事参照)。バイデン政権になってからの延長は5回目。
ホワイトハウスによれば、詳細な条件は今後数週間のうちに公表するとしているが、個人年収が12万5,000ドル未満または世帯年収が25万ドル未満の場合に、最大1万ドルの債務が免除されるとしている。全国の債務者数は約4,300万人いるが、今回の措置により約2,000万人の債務全額が免除の対象となり得るとしている。
ニューヨーク連邦準備銀行やホワイトハウスの推計では、6月末時点の学生ローン債務残高は1兆5,900億ドルとされるが、一般的な学生で大学卒業時に約2万5,000ドルの学生ローンを抱えているとされている。この債務返済が卒業後の大きな経済的負担となっていることから、バイデン大統領は就任前に、1人当たり1万ドルの学生ローン免除をすべきと述べていた。エリザベス・ウォレン議員(マサチューセッツ州)など民主党の有力議員からは5万ドルの債務免除を求める声もあったが、今回の措置は自らの公約を押し通したかたちだ。
債務免除については、これまでに債務を払ってきた人たちなどにとっては不公平だという声があるが、バイデン大統領は会見で「学生ローンの返済負担が重すぎて、多くの人が中間層の生活を送れていない」「(債務免除は)やりすぎだという人もいるが、中産階級と勤労者に焦点を当てた施策だ」と述べ、今回措置の必要性を強調した。インフレ削減法の成立などによって、支持率が上向き傾向にあるバイデン政権だが(2022年8月4日記事参照)、今回の措置がさらなる支持率上昇につながるか、また、11月の中間選挙にどのような影響を与えるか、注目される。
(宮野慶太)
(米国)
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