英保守党首選、スーナック氏とトラス氏が決選投票へ

(英国)

ロンドン発

2022年07月21日

英国のボリス・ジョンソン首相が77日に保守党の党首を辞任したこと(2022年7月8日記事参照)を受けて始まった同党の党首選(2022年7月12日記事参照)で同月20日、党所属下院議員による5回目の投票が行われた。その結果、リシ・スーナック前財務相とエリザベス・トラス外務・英連邦・開発相の2人が勝ち残り、党員による決選投票に進むことが決まった(ガーディアン・チャンネルにアップロードされた開票実況動画外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

党首選は議員8人が候補者となった。決選投票に進む2人を絞り込む議員投票は13日に始まり、2回目は14日、3回目18日、4回目19日に行われた。その間、一貫してスーナック氏が首位となっていた(下院ウェブページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますと添付資料表参照)。4回目投票まで2位だったペニー・モーダント前国防相は5回目でトラス氏に敗れた。

今回の党首選では、インフレ対策が焦点の1つとなっているが、スーナック氏とトラス氏が掲げる対策は方向性が大きく異なる。スーナック氏は財政健全化を主張し、他の候補者が主張する債務の拡大を裏付けとした減税を批判。減税はインフレが制御可能になった場合のみに行うと報じられている。一方、トラス氏は減税を掲げており、スーナック氏の財務相時代に発表された大企業向け法人税の増税(2021年3月9日記事参照)や国民保険料の引き上げ(2021年9月13日記事参照)を撤回する意向を示している。両氏は17日に行われたテレビ討論の場でも互いの政策を激しく批判、党内分裂を懸念する報道も出ていた。スーナック氏から経済政策へのアプローチの違いが指摘されていたボリス・ジョンソン首相も20日、首相として臨む最後の議会で首相への質問に対する発言の中で暗にスーナック氏の政策を批判した。

保守党員による投票は8月から郵送で行われ(保守党ウェブページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、勝者は95日に明らかになる。下院議員の支持が一貫して高かったスーナック氏も、党員の支持集めでは苦戦が予想されている。調査会社ユーガブが7月19日に発表した保守党党員725に対する調査結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、両氏が決選投票となった場合にトラス氏が党首にふさわしいと回答した割合は54%だったのに対し、スーナック氏は35%と大きく差がある。

(山田恭之)

(英国)

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