6月のカナダ消費者物価指数、前年同月比8.1%上昇
(カナダ)
トロント発
2022年07月21日
カナダ統計局が7月20日に発表した6月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で8.1%上昇した。5月の上昇率(7.7%、 2022年6月24日記事参照)を0.4ポイント上回り、1983年1月以来の大幅な伸びとなった。
統計局は要因について、主因はガソリン価格の上昇によるものの、主要8項目中7項目が3%以上の上昇となり、物価上昇は引き続き広範囲に及んだとした。
ガソリン価格は5月の前年同月比48.0%上昇に続いて6月は54.6%上昇し、前月比では6.0%上昇だった。ガソリン価格は、最大の原油輸入国の中国で新型コロナウイルスの公衆衛生上の規制が緩和され、世界的に需要が高まった6月第1週にピークを迎えた原油価格にほぼ追随するかたちとなった。原油価格は、世界的な景気減速懸念で需要が減速する中、6月第2週以降は弱含みとなっている。
乗用車購入指数も5月の前年同月比6.8%増に続いて6月も8.2%増となり、半導体不足によって乗用車の需要が供給を上回り、価格上昇の圧力がかかっている。
さらに、6月のサービス物価は、持ち家の修繕費用や、その他持ち家費用、外食費、家賃、旅行者宿泊費などの上昇に伴って、前年同月比5.2%上昇した。ただし「その他持ち家費用」については、5月(14.8%増)に比べて6月(12.2%増)の上昇率が抑えられ、2019年8月以来初めて前月比で減少した。これは、住宅価格が2022年初頭の高水準から緩和され、不動産手数料が減少したことを反映している。
発表を受けて、モントリオール銀行(BMO)のチーフエコノミスト、ダグラス・ポーター氏は「消費者物価指数は来月にガソリン価格の下落によって低下するとみられるものの、2022年後半はかなり高い水準で推移すると思われる。多くのコア指標によると、5%程度に落ち着くものと予想され、中央銀行はこのインフレに取り組むことになる。従って、中銀は9月にも〔前回の1.0ポイント(2022年7月14日記事参照)に比べ〕より緩やかな0.5ポイントの利上げを行うと予想する」と述べた(BMOエコノファクツ7月20日)。
カナダ中銀の年内の政策金利発表は9月7日と10月26日、12月7日に予定されている。
(飯田洋子)
(カナダ)
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