カナダ中銀、政策金利を1.0ポイント引き上げ2.5%に
(カナダ)
トロント発
2022年07月14日
カナダ中央銀行は7月13日、政策金利を1.0ポイント引き上げ、2.5%とすると発表した。1.0ポイントという大幅な利上げは、1998年以来24年ぶりの大きな利上げ幅となるもので、市場の予想を上回った。
中銀は声明文で、インフレ率が依然として高い水準にあり、今後数カ月間は8%程度の高水準にとどまるとみられること、ロシアによるウクライナへの侵攻や世界的な物流の混乱のほか、石油価格の上昇などが続く中、物価上昇に対する懸念がより顕著になっていると指摘した。さらには、国内においても、人手不足と低水準の失業率による賃金上昇圧力や高い消費意欲が続く中、インフレ懸念が高まっていることから、1.0ポイントの政策金利引き上げを前倒しで決定したと説明した。加えて、今後も状況に応じて、政策金利の引き上げの必要性を判断するとともに、これを補完する量的引き締めも継続し、インフレ目標の2%の達成に必要なアクションを取っていくとしている。
カナダでは、消費者物価指数が2022年4月に前年同月比6.8%、同年5月には7.7%上昇(2022年6月24日記事参照)するなど、高水準のインフレが続いていることから、市場では今回の発表における金利引き上げは予想されていたが、引き上げ幅は0.75ポイント程度を予想していた専門家が多く、1.0ポイントの大幅な引き上げが一気に行われたことは驚きをもって受け止められている。
TD銀行のシニアエコノミスト、ジェームズ・オーランド氏は「(今回の大幅な引き上げが)本当に前倒しで行われたのであれば、9月にはさらなる1.0ポイントの引き上げはないだろうが、0.5ポイントまたは0.75ポイントの引き上げはあり得るかもしれない」とコメントしている(TDエコノミクス7月13日)。
次回の政策金利発表は9月7日に予定されている。
(斎藤健史)
(カナダ)
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