5月のカナダ消費者物価指数は前年同月比7.7%上昇、1983年以来の大幅な伸び
(カナダ)
トロント発
2022年06月24日
カナダ統計局が6月22日に発表した5月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で7.7%上昇した。4月の上昇率(6.8%)を0.9ポイント上回り、1983年1月以来の大幅な伸びとなった。
統計局は、5月の上昇の主因は、前年同月比で48.0%上昇したガソリン価格にあるとした。前月比では12.0%上昇となり、2020年3~4月の新型コロナウイルス流行初期に原油価格が大きく下落した後、回復に転じた2020年5月以降で最大の上昇幅となった。ロシアのウクライナ侵攻を背景としたエネルギー供給不安のほか、新型コロナ禍からの規制緩和を受けて旅行者が増え続け、需要が高まったことから、ガソリン価格が上昇した。
また、ホテルやレストランなどのサービス価格の上昇も寄与している。サービス価格は、前年同月比5.2%上昇した。4月の上昇率4.6%に続き、高い伸びを示した。公衆衛生対策が緩和されたことで、レジャーに対する需要が回復し、ホテルへの宿泊や外食の頻度が高まった。旅行者向け宿泊施設の価格が前年比で上昇し、一部に新型コロナウイルスによる制限が残っていた2021年5月に比べて、カナダ国内の旅行需要が増加したことを反映した。さらに、食料価格の高騰などを踏まえたレストランでのメニュー価格の上昇も、サービス価格の上昇に寄与した。
加えて、食料品価格と住居費の物価指数上昇率は前年同月比でそれぞれ8.8%、7.4%、前月比では0.8%、0.7%と横ばいになり、高止まりしている。
TD銀行のシニアエコノミスト、レスリー・プレストン氏は「2022年は通年でインフレが高止まりし、住宅ローンの金利コスト上昇に加え、家賃の値上げが続くものとみられる」として、「カナダ中央銀行は米国連邦準備制度理事会(FRB)の決定に続いて、7月13日に予定されている政策金利の発表で0.75ポイントの利上げを実施するとの見方が強まっている」とコメントした(TDエコノミクス6月22日)。また、モントリオール銀行(BMO)のチーフエコノミスト、ダグラス・ポーター氏も「7月の0.75ポイントの引き上げはほぼ織り込み済みで、年内にはさらに1ポイントの引き締めが行われると思われる」と述べた(BMOエコノファクツ6月22日)。
中銀の年内の政策金利発表は7月13日、9月7日、10月26日、12月7日に予定されている。
(飯田洋子)
(カナダ)
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