米議会、ロシア・ベラルーシとの正常貿易関係を撤回する法案可決
(米国、ロシア、ベラルーシ、ウクライナ)
ニューヨーク発
2022年04月08日
米国の連邦議会上下両院は4月7日、ロシアとベラルーシとの正常貿易関係を撤回する法案を圧倒的多数(上院:100対0、下院:420対3)で可決した。ジョー・バイデン大統領は3月11日に、ロシアに対する貿易上の最恵国(MFN)待遇を撤回する方針を示しており、議会と協働する姿勢を明らかにしていた(2022年3月14日記事参照)。近くバイデン大統領の署名を経て成立する。
法案によると、成立の翌日以降、ロシアとベラルーシからの輸入に対して、米国の品目別関税率表のコラム2に記載の関税率が適用されることになる。コラム2とは、米国が正常貿易関係を与えていない国に対する関税率を記したもので、これまではキューバと北朝鮮のみが対象となっていた。法案は大統領に対して2024年1月1日まで、コラム2記載の関税率を引き上げる権限を与えている。ロシアの主要な輸出品目の天然資源については、コラム2の関税率が低い場合も多いため、そのままでは制裁の意味をなさないとの認識から加えられたとみられる。米シンクタンク、プログレッシブ政策研究所(PPI)の副所長で元通商代表部(USTR)代表補のエド・グレッサー氏はこの点を検証した上で、ロシアへのMFN待遇の撤回はいくらかの罰則にはなるが、ロシアの特殊な輸出形態を勘案すると、ほとんどの場合、あまり重要な意味をなさないと指摘している。
また、法案はUSTRに対して、ロシアのWTO加盟資格の停止とベラルーシのWTO加盟手続きの停止を検討・追求するよう求めている。
ロシアからのエネルギー資源の輸入禁止法案も可決
また、上下両院は同じ4月7日、ロシア産のエネルギー資源の輸入を禁止する法案も圧倒的多数(上院:100対0、下院:413対9)で可決した。バイデン政権は3月8日に大統領令で実行済みだが、議会としてもこれを法制化したかたちだ(2022年3月9日記事参照)。下院でこれら2つの法案起草を担当した歳入委員会のリチャード・ニール委員長(民主、マサチューセッツ州)は「ついに、超党派による歳入委員会の重要な法案が法律となり、プーチン(ロシア大統領)はさらなる圧力と孤立を経験することになるだろう」との声明を出した。
(磯部真一)
(米国、ロシア、ベラルーシ、ウクライナ)
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