欧州委、EUデジタルCOVID証明書を成功と自己評価する報告書公表
(EU、EFTA)
ブリュッセル発
2021年10月19日
欧州委員会は10月18日、新型コロナウイルスワクチン接種などの証明書に関するEU共通の枠組みである「EUデジタルCOVID証明書」の実施状況に関する報告書を公表した。COVID証明書は6月1日から順次運用を開始し(2021年6月2日記事参照)、10月13日時点でEU加盟国と欧州経済領域(EEA)に参加するアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーで合計5億9,173万件のCOVID証明書(ワクチン接種証明書4億3,751万件、検査証明書1億4,417万件、回復証明書1,005万件)が発行された。
COVID証明書は27のEU加盟国とEEAの3カ国に加え、スイス、イスラエル、トルコ、ウクライナなど13カ国・地域の証明書とも同等性を認め相互承認されている。欧州委によると、さらに28カ国・地域からEUのCOVID証明書システムとの相互承認の技術的な検討が進んでいる。報告書では、COVID証明書は「新型コロナ禍」での国境を越える移動の円滑化や、航空業界や観光業界の支援策として有効な措置だと評価し、この制度が現在では「グローバルな標準となっており、国際的に機能している唯一のシステム」とその成功を強調している。また、越境移動だけでなく、20の加盟国では飲食店や各種施設への入場といった国内用途でも活用しており、さらに5加盟国が利用を検討しているという。
追加接種への対応準備、ワクチン証明書の有効期限は示さず
COVID証明書設置規則(2021年6月15日記事参照)では、ワクチン証明書の有効期限は各加盟国が設定することとなっている。欧州医薬品庁(EMA)が10月4日、ワクチン接種完了者に対するブースター接種に関して、初の勧告を発表(2021年10月5日記事参照)するなどの動きがあるものの、欧州委は今回の報告書で、ワクチン接種の一定期間後の免疫低下について確立した結論は出ておらず、ワクチン証明書の有効期限についてCOVID証明書設置規則を修正する意向はないと述べている。他方、追加的なワクチン接種をCOVID証明書に取り込むための統一ルールについては、実施法令を準備中だとした。現在のCOVID証明書設置規則は2022年6月30日までの適用となっており、欧州委は同年3月31日まで今回の報告書の更新版に加えて、感染状況に応じて適用の延長を求める改正法案を提出する可能性もあるとしている。
欧州最大の航空会社協会エアラインズ・フォー・ヨーロッパは13日に発表した声明で、COVID証明書の迅速な普及を評価しつつ、確認作業が空港での手続きを煩雑にしているとし、各国政府に対して、乗客によるオンラインチェックインの際に証明書の確認も可能とするなどの解決策の開発を進めるように求めた。
(安田啓)
(EU、EFTA)
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