欧州委、新型コロナワクチン接種証明書活用の域内の移動制限緩和を提案
(EU)
ブリュッセル発
2021年06月01日
欧州委員会は5月31日、EU域内〔欧州経済領域(EEA)に参加するアイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタインを含む〕の移動の自由制限に関する現行の勧告(2021年2月3日記事参照)を修正する勧告案を発表した。主に、7月1日から運用開始予定の「EUデジタルCOVID証明書」(2021年3月18日記事参照、2021年5月24日記事参照)の活用を目指す内容となっている。
ワクチン接種者は制限措置を免除
勧告案では、以下の対象者で「EUデジタルCOVID証明書」に即した各種証明書を保持する者は、移動に関わる検査や自主隔離を原則免除するべきとした。
- ワクチン接種完了者(所定の回数の接種を済ませ、最後の接種から14日間が経過し、ワクチン証明書を保持する者)
- 回復者(回復証明書を保持する者、最初の陽性結果から180日間に限定)
- 1回目のワクチン接種を済ませた回復者(回復証明を保持し、1回目のワクチン接種から14日間が経過しており、ワクチン証明書を保持する者)
陰性結果でも自主隔離を免除
「EUデジタルCOVID証明書」に即した検査の陰性結果証明書の保持者は、自主隔離の制限措置を免除する。また、加盟国によって対応が異なっている検査の有効期限について、PCR検査の場合は72時間、迅速抗原検査(加盟国が認める場合のみ)の場合は48時間に統一する。
さらに、欧州疾病予防管理センター(ECDC)が感染状況に応じて作成する色分けマップ(2020年10月14日記事参照、2021年2月3日記事参照)に応じて、加盟国が以下の各色に指定された地域からの渡航者に対して課すことができる制限措置を簡素化する。
- 緑:制限なし
- オレンジ:出発前の検査の実施を課すことができる
- 赤:出発前の検査を受けていない場合、自主隔離を課すことができる
- 濃い赤:不要不急の移動の自粛要請。検査と自主隔離といった制限措置の継続
懸念される変異株の流行地域からの渡航者に対しても、「濃い赤」と同様の措置を課すことができる。また、感染状況が急激に悪化している地域や特に懸念される変異株の流行地からの渡航者に対する「緊急抑制メカニズム」として、ワクチン証明書や回復証明書の保持者を含め、自主隔離を課すことができる。
色分けの基準に関しても一部緩和する。基準の1つである14日間の10万人当たりの新規感染者数の累計に関して、「オレンジ」の上限を現行の50人未満から75人未満に引き上げ、「赤」を75人以上150人未満に変更する。
また、子どもを伴った移動を円滑にするために、親に自主隔離を課さない場合には、同伴する子どもの自主隔離を免除し、6歳以下の子どもに対しては検査も免除する。
勧告案はEU理事会(閣僚理事会)で検討され、採択された場合には、各加盟国は同勧告を基に新たな制限措置を決定し、実施することになる。
(吉沼啓介)
(EU)
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