バイデン氏、新型コロナ制御と経済再建の両立へ米政財界に結束呼びかけ
(米国)
ニューヨーク発
2020年11月17日
米国の次期大統領就任が確実なジョー・バイデン前副大統領は11月16日、経済政策に関する記者会見を行った。7日の大統領選勝利宣言(2020年11月9日記事参照)でも強調したとおり、新型コロナウイルスの制御なくして経済再建はないとの考えの下、政財界に対して、意見の違いを乗り越えて結束するよう呼びかけた。
バイデン氏は会見前に、ゼネラルモーターズ(GM)のメアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)ら米企業の代表者と、米国労働総同盟・産業別組合会議(AFL-CIO)のリチャード・トラムカ会長ら労働組合の代表者とともに、新型コロナウイルス対策と経済再建に関して意見交換を行ったと明らかにした。いずれの参加者とも、新型コロナウイルスを制御し、経済と雇用を取り戻したいとの点で一致したと強調した。その上で議会に対して、党派対立を乗り越え、新型コロナウイルス対策法案を速やかに成立させるよう呼び掛けた。トランプ大統領が選挙での敗北を認めず、政権移行を阻んでいるとの見方については、「われわれが今から連携しなければ、もっと多くの人が(ウイルスで)亡くなってしまう」と危機感を示した。
自らの政権における経済政策については、選挙キャンペーン時のスローガン「より良く立て直す(Build Back Better)」の下で発表した政策案を繰り返し(2020年7月14日記事)、労働組合員のために「高賃金の製造業雇用を多数生み出す」とした。そのために、大企業や富裕層に公平な負担を求める税制や、連邦最低賃金の時給15ドルへの引き上げ(現行:7.25ドル)、バイアメリカンの徹底などを進めていくとした。このほか、会見の中では、電気自動車市場の拡大、クリーンエネルギー分野の研究開発への投資、インフラの現代化などに言及した。
通商政策の基本方針にも言及
通商政策に関して、アジアの15カ国が署名した東アジア地域包括的経済連携(RCEP)協定(2020年11月16日記事)への参加を検討するか記者から問われた際には、直接の返答は避けたものの、「中国やその他の国が成果を独り占めしないよう、他の民主主義国と連携してルールを作る必要がある」と指摘した。その上で、政権発足後の通商政策の方針について、(1)米国の労働者に投資して、その競争力を引き上げる、(2)通商交渉に労働組合、環境団体の代表者を同席させる、(3)懲罰的な通商政策は求めず、友好国に厳しくしながら独裁国を抱きしめるようなことは意味がない、という3点を追求するとした。バイデン氏は(2)に関して、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)への復帰についても、それが満たされていないために再交渉の必要があると過去に言及している(2019年8月2日記事参照)。
(磯部真一)
(米国)
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