東アジア地域包括的経済連携(RCEP)協定、15カ国で署名
(ASEAN、日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インド)
バンコク発
2020年11月16日
第4回東アジア地域包括的経済連携(RCEP)首脳会合が11月15日、オンライン形式で開催され、交渉国のうちインドを除く15カ国(ASEAN10カ国、日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド)がRCEP協定に署名した。同協定は2011年8月に物品、サービス、投資分野の作業部会の設立について、日本と中国が共同でASEAN側に提案したことで検討が開始され、2012年11月に交渉の立ち上げを正式に宣言した。交渉開始から8年で妥結に至った。今後、ASEAN10カ国の過半数(6カ国以上)と、自由貿易協定(FTA)パートナー国(日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド)の過半数(3カ国以上)の国内批准手続きが完了した段階で発効する(注1)。
RCEP協定は、FTAの主要構成要素である物品・サービス貿易、投資分野に加え、税関手続きや知的財産、電子商取引、競争など、ビジネスの透明性を高めるルール分野を規定していることが特徴(注2)。日本にとっては中国、韓国と初めての経済連携協定(EPA)となる。在ASEAN日系企業にとっては、これまでASEANが中国、韓国、日本、オーストラリア・ニュージーランドと個別に結んでいたFTAと異なり、RCEPはそれらの地域を「面」でつなぐため、例えば日本から素材をASEAN諸国に供給し、ASEAN諸国で部品に加工、さらに中国に輸出するような場合でも、特恵関税の適用が受けやすくなるなどのメリットがある。
同日に発表された共同宣言文では、RCEPの交渉妥結は、新型コロナウイルスがもたらした困難に対し、経済復興や包摂的な開発、雇用創出を支え、地域のサプライチェーンを強化するという強いコミットメントと、開かれて包摂的な、ルールに基づく貿易投資措置に対する支持を示すものとしている。
なお、共同宣言文の付帯文書として、「インドのRCEPへの参加に係る閣僚宣言」も併せて発表された。RCEP協定書第20章9条(加入手続き)に基づき、RCEP協定発効日以降、インドによる加入のために開かれたものにしておくとしたほか、インド側の要請に基づき、RCEP協定署名国は署名後にいつでもインドと交渉を開始できること、さらに、インドは加入に先立ちオブザーバーとしてRCEP会合に参加できることなどを定めている。この取り決めはRCEP協定署名日に開始され、インドがRCEP協定に加入するまで継続される。
(注1)共同宣言文第5パラグラフ参照。
(注2)RCEPの章立てについては、外務省ホームページ参照。
(蒲田亮平)
(ASEAN、日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インド)
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