欧州理事会、デジタル化政策やベラルーシへの制裁実施を決定
(EU)
ブリュッセル発
2020年10月06日
欧州理事会(EU首脳会議)は10月1、2日に特別会合を開催し、EU単一市場やデジタル化への移行政策などのEU域内政策と、東地中海情勢やベラルーシ情勢などの外交政策を協議した。
EU単一市場に関しては、新型コロナウイルス感染拡大の影響で一部円滑な運用が難しくなっていることから、速やかに正常な運用に戻すとともに、さらなる単一市場の深化を目指すことで一致。デジタル化政策では、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長が9月に行った一般教書演説(2020年9月17日記事参照)の内容を全般的に支持するものとなり、復興基金の中核政策である「復興レジリエンス・ファシリティ」(2020年9月18日記事参照)の予算の20%を中小企業を含むデジタル化政策に拠出することについても一致した。
ベラルーシには制裁を、トルコには建設的対話を決定
外交政策に関しては、大統領選の結果をめぐり市民との衝突が続くベラルーシに対して、欧州理事会は8月に対象を限定した制裁について合意(2020年8月20日記事参照)していたが、今回正式に制裁実施を決定したと発表。10月2日から40人のベラルーシ政府関係者に対し、資産凍結やEUへの入域禁止などを科した。
トルコによる東地中海での海底資源の開発をめぐり、キプロスとギリシャ両国と緊張が続く問題で、欧州理事会はギリシャとキプロスとの連帯とその主権的権利を尊重する姿勢を明確にした。一方で、トルコに対しては国際法に基づき、建設的な対話による解決を求めるとした。こうした対話の進展を前提に、トルコと関税同盟の現代化や貿易円滑化の協議を進める用意があるとした。ただし、制裁を含む必要なあらゆる手段を取る準備もできているとし、今後の情勢を注視した上で、遅くとも12月の欧州理事会で再度議論するとした。
なお、フォン・デア・ライエン委員長が一般教書演説で55%への引き上げを発表した温室効果ガスの排出削減に関する2030年中間目標(2020年9月18日記事参照)や、EUが離脱協定違反と非難する英国で審議中の「国内市場法案」(2020年9月11日記事参照)を受け、さらに難航している英国との将来関係協定交渉に関しては、10月15、16日の欧州理事会での協議を予定している。
(吉沼啓介)
(EU)
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