ロックダウン緩和のロードマップ大枠を発表、6月にも店舗や学校の一部を再開へ
(英国)
ロンドン発
2020年05月11日
ボリス・ジョンソン首相は5月10日夜、英国民向けのビデオ演説で、新型コロナウイルス感染拡大防止のために施行されている外出規制や店舗閉鎖などを、段階的に緩和するロードマップの概略を明らかにした(添付資料表参照)。約7週間前に現行規制を導入(2020年3月25日記事参照)してから、初めての緩和となる。首相は11日に、議会で計画の詳細を説明する。
発表に当たり首相は、政府が4月16日に示した規制緩和に必要な5つの条件(2020年4月17日記事参照)をあらためて示し、条件が整わなければ次の段階には進まないことを強調。近日中に職場や学校、交通機関利用などに関するガイダンスを発表する。
さらに政府は、新たに専門部局を設置し、「新型コロナウイルス警戒制度」を導入する。新型ウイルスが国内から消失した状態のレベル1から、最も危険な状態のレベル5まで5段階に分類し、主に実効再生産数(R)と新規感染者数を基に、その時点でのレベルを判別。これまでの規制はレベル4に該当し、現在は「レベル3への段階的な移行を開始する局面」(ジョンソン首相)としている。
スコットランド、ウェールズ、北アイルランドでの緩和は、各自治政府の決定に委ねられる。例えば、屋外運動の回数制限の撤廃は、スコットランドとウェールズではイングランドより2日早い5月11日に実行する。しかし、自宅待機という原則を変えることには慎重意見もあり、スコットランド自治政府のニコラ・スタージョン首相は、BBCの取材に「現段階で(自宅待機により)就業できていない人々に仕事に戻るよう要請することはない」とコメントするなど、対応が分かれる可能性もある。
水際対策など規制の強化も
ジョンソン首相は、規制緩和の方向を示す一方で、近日中に渡英者(共通旅行区域(CTA)を形成するアイルランドなど一部を除く)に自己隔離を義務付ける考えも明らかにした。政府は3月上旬まで、国外の感染拡大地域からの渡航者に自己隔離や申告などを義務付けていた(2020年3月4日記事参照)が、その後の国内での感染拡大を受け、水際対策の有効性が薄れたとの判断から、3月13日に撤廃していた。しかし、国内での感染が減少を続ける中、新たな感染者の流入を防ぐ必要性が生じたとして、再導入に踏み切る。
このほか、外出規制の部分的緩和でも、第1段階の緩和策を打ち出す一方で、その他の社会的距離に関する規制(3人以上の集会の禁止など)は継続し、違反者に対する罰金は引き上げる。慎重な対応はしばらく続きそうだ。
(追記)5月10日の発表内容を基に執筆。5月11日の詳細資料発表に基づき一部修正しました。
(宮崎拓)
(英国)
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