新型コロナ感染収まらず、自宅待機・店舗閉鎖などを最短3週間延長
(英国)
ロンドン発
2020年04月17日
英国政府は4月16日、新型コロナウイルスの感染拡大を防止のため政府が3月23日に導入した自宅待機や飲食、小売店などの一時閉鎖、3人以上の集会の禁止などの措置(2020年3月25日記事参照)を、最短でも今後3週間は延長して適用すると発表した。ドミニク・ラーブ外相兼筆頭国務相が、定例会見で明らかにした。同相は、新型ウイルスに感染し、療養中のボリス・ジョンソン首相に代わって、閣議や対策会議の指揮を執っている。
会見の中では、英国での感染者数の増加は落ち着いてきていると説明された。感染により入院している患者の数は、多くの地域で上昇は収まり、ロンドンでは減少に転じている(英国政府資料)。しかし1日当たりの死者数は、前週に3度記録した900人台からは減少したものの、引き続き700~800人台で推移している。ラーブ外相は会見で、状況を分析した緊急科学諮問会議(SAGE)から「今(現行の)社会的距離確保に関する措置を変更すれば、ウイルス拡大が急増することになりかねないという非常に明確な助言を受けた」と言及。現行措置を最低3週間延長すると明言した上で、措置の緩和には以下の5つの要件を満たす必要があると述べた。
- 国営医療サービス(NHS)の対処能力が確保されていること。
- 1日の死亡率が長期間一貫して減少すること。
- 感染率が対処できる水準まで減少したことを示す信頼性の高いデータをSAGEから入手できること。
- 現場の課題に十分対処し、必要な検査や防護品(PPE)などが将来需要も含め確保できる確証があること。
- 現行措置の緩和がNHSの対処能力を大きく超えるような第2の感染ピークにつながらないと確信できること。
製造業など閉鎖対象以外の事業は引き続き操業可能
今回の延長発表により、政府が公表しているネガティブリストに記載されている飲食、小売り、ホテル、文化施設、娯楽・遊興・スポーツ施設、野外運動場などは、店舗・施設の再開はできない。しかし、同リストに掲載されていない業態の事業者は、これまでどおり事業を継続することが可能だ。イタリアと異なり、英国では製造業などの操業停止命令も出されていない。
一方、これら一時閉鎖の対象外の事業者に対しては、政府は従業員の感染防止や安全確保に十分に配慮することを求めており、職場における社会的距離確保の業種別ガイダンスなどを公表している。従業員間で最低2メートルの距離を確保することなどが要請されており、一定の制約下での操業継続となることは避けられない。
(宮崎拓)
(英国)
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