外出や3人以上の集会を制限、新型コロナ感染拡大止まらず
(英国)
ロンドン発
2020年03月25日
英国のボリス・ジョンソン首相は3月23日夜、新型コロナウイルス感染者が急増を続けていることを受け、これまでの対策より大幅に踏み込んだ声明を発表。国民に自宅待機を指示した。
自宅待機は23日夜から即時、当面は3週間にわたり継続する。警察など関係当局が違反者に罰金を科す、または集会を解散させることを可能にする権限を付与する作業を進めており、感染拡大防止を徹底する。外出は、食品・医薬品など生活必需品の購入、1日1回の運動、通院や医療・介護サービスの提供、必須かつ在宅勤務ではできない場合の通勤、の4つに限る。
同指示を確実に実行するため、前週にパブ、レストラン(持ち帰りや宅配は可)、映画館、劇場などに適用した営業停止措置の対象を大幅に拡大し、食品・医薬品など生活必需品以外の小売店、図書館、娯楽施設、公園内の遊技場や野外運動施設、礼拝施設、ホテル等も閉鎖。葬儀以外の祭事も認めない。さらに、同居家族や職務上必須の場合を除き、公の場での3人以上の集会も禁止する。
強力な措置の背景には、前週までにも不必要な外出を控えるよう重ねて要請してきたにもかかわらず(2020年3月18日、3月23日記事参照)、十分に守られていなかったことがある。周辺国に比べて政府の対策が不十分との批判も増していた。一方で、外出禁止令や出入国の停止といった措置は、なお発動されていない。
短期国外滞在者の帰国も勧告
このほか、英国政府は同日、国外の英国人旅行者・短期滞在者に対し、航空便を確保できる限り直ちに英国に帰国するよう勧告。政府はこれに先行して3月17日、目的地に関わらず不要不急の海外渡航を中止するよう勧告していたが、世界各地で航空会社の運休が相次いでいることを受け、即座の帰国も求めた。
また、政府は同日、経済対策も追加。国会で審議中の特別法「コロナウイルス法案」を修正し、新型コロナウイルスの影響で不動産賃料を支払うことができない事業者の立ち退きを禁止する。また、乗客の激減に直面している鉄道運営事業者に対しては、政府との通常のフランチャイズ契約を一時凍結し、収益リスクを政府に移転することで運行を継続する。利用者には、未使用の乗車券と定期券の未使用期間の料金を払い戻す。特定業種への救済策については、航空部門などで今後詳細が明らかになる見込みだ。
(宮崎拓)
(英国)
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