米USTR、EU製大型航空機の追加関税を10%から15%に引き上げ
(米国、EU)
ニューヨーク発
2020年02月17日
米国通商代表部(USTR)は2月14日、フランスやドイツ、スペイン、英国製の大型民間航空機に課している追加関税率を、現行の10%から15%に引き上げると発表した。3月18日から実施する。
米国は2019年10月18日から、EUによる航空大手エアバスへの補助金供与に対する報復措置として、大型民間航空機に10%、そのほかワイン、チーズなどのEU産品に25%の追加関税を賦課している(2019年10月16日記事参照)。対象品目の年間輸入額の合計は約75億ドルに上る。その後、12月6日には、賦課している追加関税の対象品目や税率の見直しを行うと発表し、見直しに向け、パブリックコメントを2020年1月13日まで受け付けていた(2019年12月10日記事参照)。USTRによると、パブリックコメントには2万6,000近くのコメントが寄せられた。今回の見直しは、こうしたコメントなどに基づき決定したとしている。USTRはさらに、今回、大型航空機以外の対象品目への追加関税率は現行の25%に据え置くものの、今後、EU側が米国の追加関税や米航空機大手ボーイングへの補助金措置に関連して報復関税を課した場合は、ただちに見直しを行うとして、EU側を牽制している(注)。
なお、航空機への追加関税率引き上げに加え、一部の対象品目の修正も発表された。プルーン・ジュース(HTSコード2009.89.40)が対象品目から外される一方、食肉処理用・家庭用包丁(フランス製およびドイツ製、HTSコード8214.90.60)に25%の追加関税が新たに賦課される。本措置は3月5日より実施される。
(注)米国による米航空機大手ボーイングへの補助金措置も、2019年3月にWTO上級委員会の裁定で違反とされており、EUは同年4月、報復関税の対象候補となる品目の暫定リストを公表している(2019年4月18日記事参照)。
(若松勇)
(米国、EU)
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