英国政府、独自関税率の方針を公表、意見公募を開始

(英国)

ロンドン発

2020年02月07日

英国国際通商省は2月6日、EU離脱(ブレグジット)に続く移行期間終了後の2021年1月1日から採用する、英国独自の関税率に関する基本方針外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公表し、同方針に対する意見公募を開始した。約50年ぶりにEUの対外共通関税率から離れ、税率の簡素化や国内製造業の生産コスト削減などを柱に、「英国全土の消費者と企業に適した」(エリザベス・トラス国際通商相)戦略的な税率を導入する。「UKグローバル・タリフ」と名付けた新たな関税方針に対する意見公募は、同省のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで2020年3月5日まで受け付けられている。

公表されたのは、英国が新たに導入する最恵国待遇(MFN)税率に関する方針。自由貿易協定(FTA)を締結する国、一般特恵関税制度を適用する開発途上国を除き、原則全ての国に対して適用することになる。EUの関税率を流用して、2018年7月にWTO事務局に提出した税率(2018年10月29日記事参照)は、この新方針に基づくMFN税率に置き換えられるとみられる。

新方針のポイントは次の3つ。

  • 関税率の簡素化:現在英国が適用しているEU対外共通関税率で2.5%以下のものは、関税を撤廃。また、現行20%未満の関税率は2.5%刻みで、20%以上50%未満の関税率は5%刻みで、50%以上の関税率は10%刻みで切り捨て(例:現行19.2%なら17.5%に、48%なら45%に、68%なら60%に)。農産品への課税体系を簡素化。
  • 原材料・半製品の関税撤廃:英国で生産される物品の主な原材料・部品・半製品などの関税を撤廃。
  • 国内生産が少ない物品の関税撤廃:英国内で生産していない、または生産量が限られる物品は関税を撤廃。

政府は2019年、EUとの合意がないままEUから離脱(ノー・ディール)した場合、大多数の品目の関税を最大1年間ゼロにする方針を打ち出していた(2019年10月9日記事参照)。トラス国際通商相は2月6日、今回の独自関税率の方針と意見公募に関する議会宛ての声明の中で、このノー・ディール時の暫定関税率の方針は、英EU双方が離脱協定を承認したことで無効になったと述べている。同相は同日、別の議会宛ての声明で、EU以外の国々とのFTA交渉に関する方針も示している(2020年2月7日記事参照)。

(宮崎拓)

(英国)

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