欧州委、欧州グリーン・ディールの資金提供メカニズムを提案

(EU)

ブリュッセル発

2020年01月21日

欧州委員会は1月14日、産業競争力を強化しつつ2050年の「気候中立」〔二酸化炭素(CO2)実質排出ゼロ〕を目指す「欧州グリーン・ディール」(2019年12月12日記事参照)の資金提供メカニズムとなる「欧州グリーン・ディール投資計画(持続可能な欧州投資計画)」と、その一部をなす「公正な移行メカニズム」の基金設立規則案を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

欧州グリーン・ディール投資計画は、EU予算や中期投資戦略「インベストEU」プログラム(2018年6月14日記事参照)などを利用し、向こう10年間で官民から1兆ユーロの持続可能な投資の誘導を目指すもので、投資促進に向けたインセンティブの提供と、プロジェクトの特定・構築・実施に関する官民への支援も行う。インセンティブとしては、2019年12月に欧州議会とEU理事会の間での合意が成立したタクソノミー(サステナブルな経済活動に対するEU独自の基準、2019年12月19日記事参照)も言及された。なお、欧州委は、欧州グリーン・ディール投資計画の予算が2021~2030年で5,030億ユーロになると試算とした。

「公正な移行メカニズム」は、化石燃料の関連産業に依存する地域への経済的な影響を緩和するもので、2021~2027年に総額1,000億ユーロ以上の投資誘導を目指す。同メカニズムは次の3本柱からなるとする。

  1. 「公正な移行基金」:EU資金から新たに75億ユーロを拠出し、影響の大きい地域の労働者の技能習得支援、雇用創出を見据えた中小企業やスタートアップ企業支援、環境に優しいエネルギーへの投資支援を実施
  2. 中期投資戦略「インベストEU」の資金450億ユーロによる、持続可能なエネルギー・交通などへの民間投資の誘導
  3. 欧州投資銀行(EIB)の250億~300億ユーロの公的部門向け融資(地域熱供給ネットワークの整備や建物の改修などが対象)

なお、欧州議会は1月15日に欧州グリーン・ディールと、2030年のCO2排出目標の55%への引き上げへの支持を表明した。この中で、公正な移行メカニズムへの十分な資金拠出も求めた。

(村岡有)

(EU)

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