欧州議会と理事会、持続可能な経済活動のタクソノミー基準で合意

(EU)

ブリュッセル発

2019年12月19日

欧州議会は12月17日、持続可能な投資対象のタクソノミー(taxonomy、持続可能な経済活動の類型)の基準を定めた規則案について、EU理事会(閣僚理事会)との合意に達したと発表した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。EUは投資家の投資判断材料となる持続可能性の基準統一を目指しており、今回合意した規則案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは欧州委員会が2018年5月24日に提案していた。EUは持続可能な資金調達を促進するため、環境の持続可能性への貢献をうたう金融商品について、投資対象となる経済活動に関する情報開示を義務付けることを予定している。域内での持続可能性の評価基準のばらつきや、グリーンウォッシング(実質を伴わない環境訴求)防止のため、域内で統一的なタクソノミーの基準を検討しており、一部加盟国が求める原子力やガスを持続可能な投資に含めるか否かが議論の焦点となっていた。

欧州議会と理事会は、経済活動の持続可能性を評価する際に、次の環境目標を考慮することで合意した。少なくとも1つの環境目標の達成に貢献し、ほかの目標を著しく害するものではないことが持続可能な投資対象の条件となる。

  • 気候変動の緩和
  • 気候変動への適応
  • 水・海洋資源の持続可能な利用と保護
  • 廃棄物発生の予防と再生資源の利用促進など、循環型経済への移行
  • 汚染の予防と管理
  • 生物多様性および生態系の保全と回復

この合意は、石炭や褐炭など固形化石燃料を除いて、特定の技術や経済活動を持続可能な経済活動から除外していない。そのため、ガス火力や原子力発電も「著しく(環境を)害することがない」という原則を満たせば、その実現に必要な「過渡的な経済活動」や、環境対応のパフォーマンス向上に貢献する経済活動が対象として認められることもあり得るという。ただし、2021年末までに初回の、また以後3年に1度、規則の適用状況に関する見直しを実施し、タクソノミーの基準を再検討する規定が盛り込まれている。また、見直しでは、社会政策など他分野の持続可能性への適用範囲の拡大なども検討される。

規則案の成立には、欧州議会の委員会と本会議、理事会での採択が必要となる。

(村岡有)

(EU)

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