生産者による回収・リサイクル責任を強化する循環経済法案を閣議決定
(フランス)
パリ発
2019年07月19日
フランス政府は7月10日、再利用やリサイクルの促進による廃棄物の削減と循環経済の構築を目的に、「無駄との闘いおよび循環経済に関する法案」を閣議決定した。
生産者の責任で回収・リサイクルが義務付けられている製品群を拡大する内容だ。現行で義務付けられている電気・電子機器、容器包装、衣料・靴、家具など14のカテゴリーに、新たに建材、玩具、スポーツ用品、DIY・ガーデニング用品、たばこ、ウエットティッシュなどを加える。
この法案にはまた、拡大生産者責任による回収・リサイクルのための拠出金に関して、再生材料や再生可能な資源の使用、耐用性、修理、再使用の可能性などを考慮し、環境に配慮した製品の拠出金は割引し、リサイクルの可能性が制限されている製品には拠出金を割り増しする制度の導入が盛り込まれた。割り増しまたは割引の金額は、製品の販売価格の20%を上限とする。また、特定の製品や資材の市場投入の条件にリサイクル材料の最低使用量を設定することを可能にする。
電気・電子機器の販売時には、エネルギー消費表示をモデルにした修理の可能性に関する情報(指標)の表示を義務付け、修理業者はリサイクル部品による修理も提供するものとする。消費者に対してリサイクル部品による修理の可能性を伝えない場合や、回収・リサイクルの対象となる製品への貼付が義務付けられている「トリマン・マーク」、分別ごみの収集に関する情報を貼付していない場合、自然人には3,000ユーロ、法人には1万5,000ユーロの罰金の対象とする。
さらに、マイクロプラスチック汚染の原因となる酸化型生分解性のプラスチックを使用した袋、包装を禁止し、2021年からは酸化型生分解性のプラスチック製品の市場への投入を禁止、非食品の売れ残り製品の廃棄処分の禁止(2019年6月12日記事参照)や容器回収のためのデポジット制度導入(2019年6月28日記事参照)を可能にする条項も盛り込まれた。
廃棄物の削減については、オランド前政権が「エネルギー転換法」(2015年7月31日記事参照)で「2050年までに廃棄物の量を半減する」との数値目標を明文化した。マクロン現政権はさらに、関係者との協議やパブリックコメントの聴取を経て2018年4月に、50の措置から成る「循環経済のためのロードマップ」を発表し、「対GDP比の資源消費を2030年までに2010年比で30%削減」「埋め立てられた無害廃棄物の量を2025年までに2010年比で50%削減」などの目標を設定している。今回の法案は、循環経済モデルへの移行に向けた企業と消費者による取り組みのバランスを取ろうとするもの。法案は9月から国会で審議される予定。
(奥山直子)
(フランス)
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