欧州理事会、欧州委員長などEU首脳候補者を選出
(EU)
欧州ロシアCIS課
2019年07月03日
欧州理事会(EU首脳会議)は7月2日、欧州理事会として指名するEU首脳人事案を公表した。今回公表されたのは、欧州委員会委員長と欧州理事会常任議長、欧州中央銀行(ECB)総裁、外務・安全保障上級代表兼欧州委員会副委員長の4つのポスト。EU首脳人事案は、6月20日から21日にかけて開催された欧州理事会で候補者の指名案がまとめられる予定だったが、合意に至らず(2019年6月24日記事参照)、G20大阪サミット(首脳会議)を挟み、6月30日夕方から特別欧州理事会を開催、3日間に及ぶ協議の末、今回の発表に至った。特に欧州委員長候補案については、前回の選出プロセスで採用された欧州議会選挙時の「筆頭候補者プロセス」(2019年5月29日記事参照)にのっとった人事案が加盟国首脳からの支持を得られなかった結果、予想外の結果となった。
今回発表されたEU首脳人事案は表のとおり。
欧州理事会のトゥスク常任議長は7月2日、今回の特別欧州理事会の総括として、「(現欧州委員会が発足した)5年前は人事案を固めるのに3カ月を要した上、一部の首脳が反対を唱えた。一方、今回は3日間で結論を出し、なおかつ反対する者もいない」と強調、また、首脳人事案が男女比2対2となった点を「完璧なバランス」と評価した。
今回指名された4ポストのうち、欧州委員長の正式決定には、欧州議会で過半数の議員の承認を得る必要があり、ECB総裁、欧州委員会副委員長(外務・安全保障上級代表)についても、欧州議会の承認が必要だ。EU首脳人事については、これら4ポストに、欧州議会議長も含めた5ポストについて、EUの多様性を反映し、「出身国の分布や規模」「所属政党(グループ)」「性別」などの視点でバランスを考慮することの必要性がEU首脳間で確認されている(2019年5月29日記事参照)。しかし、今回提示された人事案では、性別のバランスは考慮されている一方、中・東欧出身者が含まれていない。「出身国の分布」が人事案の見直しにつながる可能性があるとする報道も一部で見られる。次期欧州議会議長の選任については、新欧州議会による本会議2日目となる7月3日午前9時(中央ヨーロッパ時間)から投票が行われる予定だ。
(根津奈緒美)
(EU)
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