フランスがGAFA課税を単独導入へ、米国との緊張増す

(フランス、米国)

パリ発

2019年07月16日

米国IT大手のグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム(以下、GAFA)への課税を可能にするフランスの「デジタル・サービスへの課税創設」法案(2019年4月10日記事参照)は7月11日、上院で可決された。国民議会(下院)は7月4日に可決済みだった。フランス国内での年間売上高が2,500万ユーロ以上かつ世界売上高が7億5,000万ユーロ以上の企業を対象に、2019年1月からのフランス国内での売上高に対し3%課税する。

米国通商代表部(USTR)は7月10日、デジタル・サービス税(通称:GAFA税)の導入に対し、1974年通商法301条に基づく調査の開始を発表していたが(2019年7月12日記事参照)、ブリュノ・ルメール経済・財務相は7月11日、上院で行ったスピーチで「同盟国の間では意見対立を脅迫以外の方法で解決すべきだ。フランスは主権国家だ。フランスは威厳を持って税に関わる決定を下す」と述べ、圧力に屈しない姿勢を示した。

他方、ルメール氏は、デジタル・サービス税が暫定措置で、現在進行しているOECDでの議論で課税への合意が得られれば、フランスは同税を廃止する方針を再度、確認した。デジタル・サービス税は「OECDで国際的な合意を得るための議論を加速する推進力となるべきだ」と述べ、米国に対し、7月17~18日にフランス・シャンティイで開催される7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議における、デジタル課税への合意に向けた議論の促進を呼び掛けた。

国際ニュース専門テレビ局「フランス24」は7月11日、フランスが「GAFA課税の単独導入国の先駆けとなる」ことから、米国が圧力をかけてきていると解説。米国の具体的な報復措置として、フランス産ワインに対する追加関税措置などが考えられるとした。

米国は、フランスの輸出相手国としてドイツに次ぎ世界2位で、全体の約8%を占める。近年は貿易赤字が続いたが、2018年は飲料・アルコール、医療用品、香水などの主要輸出品や船舶の輸出増を受け、貿易黒字に転じた。特にワインの輸出先として米国は世界1位で、ワイン輸出額の18%を占める。

(山崎あき)

(フランス、米国)

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