GAFA課税、国内法案の審議始まる
(フランス)
パリ発
2019年04月10日
フランス国民議会(下院)は4月8日、米IT大手グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン(以下、GAFA)への国内での課税を可能にする「デジタル・サービスへの課税創設」法案の審議に入った。法案では、ネット広告をカスタマイズするサービスや、ネット上でマーケットプレイスを提供する事業者の中で、フランス国内での年間売上高が2,500万ユーロ、かつ世界売上高が7億5,000万ユーロを超える企業を対象に、フランス国内の売上高に3%課税する新しい税の導入を目指す。
政府は、フランス国内で売り上げを伸ばす一方、節税目的で収益をアイルランドなど低税率国に集めるGAFAに課税の網をかけたい考えだ。GAFAのほか、ネット広告大手のクリテオ、マーケットプレイス事業のシーディスカウント、同業のル・ボン・コワンなどの国内サービス業者も含め、約30社が課税対象となるもよう。ブリュノ・ルメール経済・財務相は「2019年だけで4億ユーロ、2020年に4億5,000万ユーロ、2021年に5億5,000万ユーロ、2022年には6億5,000万ユーロの税収を期待できる」としている。
「レゼコー」紙(1月21日)によると、デジタル・サービス課税(通称「GAFA課税」)について、フランスのネットサービス協会(ASIC)からは、「ルメール大臣はシンプルな課税方法を選択したつもりだろうが、利益ではなく、売上高に課税することは、多くの欧州・フランス企業が多くの収益を上げていないことを考えると、深刻な影響を伴うものだ」と批判する声が上がっている。
フランス政府は従来から欧州レベルでのデジタル課税導入を推進しており、欧州委員会が2018年3月21日にデジタル分野における課税に関する指令案を発表した(2018年4月5日記事参照)が、2019年3月のEU財務相会合で全会一致の合意を得られず、欧州レベルでの導入を断念した経緯がある。フランスのほかオーストリアなど一部のEU加盟国が国内法として先行課税することを決めた。現在は、OECDがGAFAの課税逃れを防ぐ対策として、2020年をめどに新たな課税ルールの導入を検討している。ルメール経済・財務相は4月5日、ブカレストで開催されたユーロ・グループ会合(非公式ユーロ圏財務相会合)で、「OECD加盟国が大手IT企業への2020年の課税で合意すれば、フランスは国内のGAFA課税を即時廃止する」意向を示した。
(山崎あき)
(フランス)
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