イラン産の鉄鋼、アルミニウム、銅に対する経済制裁を発動
(米国、イラン)
ニューヨーク発
2019年05月14日
トランプ大統領は5月8日、イランの鉄鋼、アルミニウム、銅の各部門を対象とする新たな制裁措置を導入する大統領令に署名した。ホワイトハウスの発表によると、次に該当する企業または個人が制裁対象となり、違反した場合、米国内にある制裁対象のあらゆる資産が凍結される。
- イランの鉄鋼、アルミニウム、銅産業に関連する会社を運営、支配、保有しているもの
- イランの鉄鋼、アルミニウム、銅産業に関連する財・サービスの販売、供給、輸送を行うもの
- イラン産の鉄鋼、アルミニウム、銅製品の購入、取得、販売、輸送を行うもの
- 制裁対象への金融、物資、技術支援を行うもの
- 直接・間接を問わず制裁対象を所有、支配、または代表しているもの
また、イラン産の鉄鋼、アルミニウム、銅部門や関連部門の取引に関わる決済、および制裁対象との決済に携わった外国金融機関も制裁対象となり、米国国務長官との協議により、財務長官が米国での活動を制限する制裁を科す権限を有するとしている。なお、今回の新たな経済制裁の発表に合わせて、財務省外国資産管理局(OFAC)は上記産業に関連する事業の清算期間として、90日間の適用猶予期間を設けると発表している。ただし、適用猶予期間内であっても、同産業に関連する新たなビジネスを開始する場合は制裁対象になる。
トランプ大統領は声明で、今回の経済制裁は「イランの輸出収入の10%に相当する工業用金属の輸出を対象としており、他国によるイラン産の鉄鋼やその他金属の輸入は今後容認できない」と述べている。マイク・ポンぺオ国務長官は声明で、「過去1年間で約1,000の企業や個人を制裁対象に指定してイラン政権に過去最大の圧力を与えてきた」と述べ、今後もイラン政権が核開発を放棄し、テロ活動の支援をやめるまで、最大限の圧力をかけ続けると表明した。
イランへの経済制裁をめぐっては、トランプ政権が1年前の2018年5月8日にイランの核開発に関する「共同包括行動計画(JCPOA)」から離脱して以降、同計画に基づき解除していたイランに対する経済制裁を段階的に再開している(2018年5月9日記事参照、注)。
(注)対イラン経済制裁の第1弾の詳細は2018年8月9日記事、第2弾の詳細は2018年11月7日記事を参照。また、日本を含む8カ国・地域はイラン産原油禁輸の適用除外とする特例措置の対象となっていたが、同措置は5月1日をもって撤廃された(2019年4月23日記事参照)。
(須貝智也)
(米国、イラン)
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