対中輸入2,000億ドル相当への追加関税率を25%に引き上げ検討
(米国、中国)
ニューヨーク発
2018年08月03日
米通商代表部(USTR)のロバート・ライトハイザー代表は8月1日、1974年通商法301条(以下、301条)に基づく追加措置として発表されている対中輸入額2,000億ドル相当への関税賦課(2018年7月12日記事参照)について、トランプ大統領の指示に基づき、追加関税率を10%から25%に引き上げることを検討すると発表した。「検討されている追加関税率の引き上げは、中国政府に有害な政策や慣行を是正させるための、さらなる手段をトランプ政権に与えることが目的」と述べている。
トランプ政権は、技術移転に関する法令や慣行(注)の是正を中国政府に促すための措置として、301条に基づき対中輸入額340億ドル相当の818品目に25%の追加関税を賦課している。また、第2弾の措置として対中輸入額160億ドル相当の284品目にも25%の追加関税をさらに賦課する予定にしている(2018年7月9日記事参照)。この第2弾の措置は、品目確定に向けたパブリックコメントが7月末に終了しており、USTRによる最終品目の確定を待つ状況になっている(2018年6月21日記事参照)。
パブコメのスケジュールを変更
今回追加関税率の引き上げが検討されているのは、中国政府の報復措置(2018年7月10日記事参照)に対する追加関税措置としてUSTRが7月10日に公表した6,031品目(対中輸入額2,000億ドル)を対象としたもので、最終品目の確定に向けたパブリックコメントを現在実施している。USTRは、関税率引き上げの可能性を踏まえて、スケジュールを以下のように変更した。
8月13日 公聴会での証言申し込み・証言の要約書および公聴会前の書面でのパブリックコメント提出期限
8月20~23日 公聴会(日程延長の可能性あり)
9月6日 公聴会での証言に対する反論を含む書面でのパブリックコメント提出期限
なお、トランプ大統領は中国政府の対応によっては、新たに対中輸入額3,000億ドル相当に関税を賦課すると発言していた。今回は、この新たな関税賦課の発表ではなく、対中輸入額2,000億ドル相当の関税賦課に関する税率引き上げを示唆することで中国政府に圧力をかけるかたちを取った。
通商専門誌「インサイドUSトレード」(2018年8月1日)によれば、中国政府外交部の報道担当官は米国の脅しに屈せず、さらなる報復措置を取ると発言している。
(注)米国政府が問題視する中国政府の技術移転策の詳細については2018年6月14日付地域・分析レポート参照。
(鈴木敦)
(米国、中国)
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