中国、米国301条発動と同時刻に対抗措置を実行
(中国、米国)
北京発
2018年07月10日
米国が1974年通商法301条に基づき中国から輸入する340億ドル相当の818品目に対して25%の追加関税を賦課したことを受け、税関総署関税徴収管理の担当者は、北京時間7月6日午後0時1分に中国も既に準備していた同等規模の対抗措置を正式に実施したと発表した(新華網7月6日)。米国と同時刻(米国東部時間で7月6日午前0時1分)に措置が有効になったとしている。
米国から輸入する農産物、畜産物、自動車、水産物など545品目(約340億ドル)に対して25%の追加関税を徴収する(2018年6月20日記事参照)。そのうち、大豆、乗用車、実綿および繰綿などの品目の輸入額が大きい。
商務部の報道官は、米国が7月6日に世界の貿易規則に違反し、歴史上最大の貿易戦争をしかけてきたとし、世界の産業チェーン、バリューチェーンの安全性を著しく脅かすもので、世界経済の回復の歩みを阻み、世界市場に動揺をもたらすと批判した。同日に中国はWTOに対して、米国の今回の措置を提訴している。そして、商務部報道官は、世界の多くの罪のない多国籍企業、一般企業、消費者に影響を及ぼし、米国企業と米国国民の利益を損なうだろうとした。
7月5日に行われた商務部の定例記者会見において、高峰報道官は、米国が追加関税を課す約340億ドルの品目のうち、約200億ドル(全体の約59%)は在中外資系企業の製品で、そのうち米国企業はかなりの構成比を占めると指摘し、米国の中国への措置は、全世界と米国自身を攻撃するものだとしていた。
今後、米国がさらなる審査やパブリックコメントなどを経て284品目(160億ドル相当)の追加関税賦課に踏み切り、中国も114品目(同規模)に対して追加関税を課す事態に発展するかが注目される。
前述の記者会見で高報道官は、中国は脅しやゆすりに屈することはなく、「世界の自由貿易」と「多国間体制」を守る決心が揺らぐことはないとしている。米国は中国の知的財産権の在り方を批判するが、中国はしっかりと保護しているとしており、「中国製造2025」を見直す意向もないとみられることから、両国間の調整は難航が予想される。
なお、米中貿易戦争が勃発した場合、中国の米国系企業が攻撃目標になるのかとの問いに対しては、高報道官は全ての中国における企業の権益は、中国政府の保護を受けると回答した。
(宗金建志)
(中国、米国)
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