301条に基づく対中関税品目を公表
(米国、中国)
ニューヨーク発
2018年06月18日
米通商代表部(USTR)は6月15日、1974年通商法301条(以下、301条)に基づき、中国の技術移転策(注1)に対する制裁措置として、中国からの輸入に関税賦課を行う品目のリストを公表した。トランプ政権は5月19日に貿易赤字削減に関する中国政府との共同声明を発表し、関税賦課を見合わせるとしていたが、5月29日に関税賦課の留保を突如撤回し、6月15日までに対象品目の最終リストを公表するとしていた(2018年5月30日記事参照)。
第1弾は818品目、340億ドル相当が対象
リストは対中輸入500億ドル(2018年貿易額ベース)に相当する1,102品目を対象にしており、(1)7月6日から25%の追加関税を賦課する818品目(対中輸入額340億ドル)と、(2)今後さらなる審査やパブリックコメントなどを通して最終的に品目確定を行う284品目(160億ドル)で構成されている。
USTRによると、(1)のリストは、4月6日に公表された1,333品目の対象品目リスト案(2018年4月6日記事参照)に関する公聴会(注2)やパブリックコメントの結果を反映し、同リストに当初掲載されていた515品目を除外した818品目で構成されている。また、(2)のリストは、301条の政府間委員会が別途特定した284品目で構成されており、「中国製造2025」など中国政府の産業政策の対象品目が含まれているという。
製品別適用除外の申請も受け付ける
USTRは、追加関税の対象品目に対する製品別適用除外のプロセスを設けると発表している。追加関税の対象品目を輸入する米国企業を念頭に置いているが、実際の申請者の条件などは示されていない。USTRは、今後数週間のうちに連邦官報で詳細を発表する。
トランプ大統領は、中国が追加関税や非関税障壁の設置、米国企業に対する懲罰的な行為などの「報復措置」を取った場合、さらなる関税賦課を行うと牽制した。大統領は4月5日に、中国が報復措置を発動した場合の対抗措置として、今回の500億ドルに上乗せするかたちで1,000億ドル相当の追加関税を検討するようUSTRに指示しているが、この追加措置の対象品目リストはまだ発表されていない。
中国政府は対抗措置発動を発表
一方、米国政府の発表を受けて、中国政府は即座に対抗措置の発動を発表した。中国の対抗措置は500億ドル相当の対米輸入を対象に25%の関税を課すほか、関税賦課を2回に分けて行うことなど、米国の措置と類似した内容になっている。中国はまず第1弾として、7月6日から340億ドル相当の対米輸入に追加関税を賦課する。この対象品目には大豆、豚肉、牛肉、ウイスキーなど米国にとって政治的に重要な品目が多く含まれている。
通商専門誌「インサイドUSトレード」(6月15日)は、通商や中国の専門家は、米中両国の関税賦課が行われる7月6日を中国との交渉の新たな期限とみていると報じている。なお、トランプ大統領は6月30日までに別途、中国企業に対する投資規制を発表する。
(注1)米国が問題視する中国の技術移転策の詳細については2018年6月14日地域・分析レポート参照。
(注2)301条に関する公聴会の内容は2018年5月24日記事と5月25日記事参照。
(鈴木敦)
(米国、中国)
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