トランプ政権、自動車・同部品輸入に関する232条調査開始

(米国)

ニューヨーク発

2018年05月25日

トランプ大統領は5月23日、1962年通商拡大法232条〔以下232条、19.U.S.C.1862(b)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)〕に基づき、自動車と同部品の輸入に関する安全保障調査の発動を検討するよう、ウィルバー・ロス商務長官に対して指示外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。これを受け、商務省は同日、調査の発動を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

232条は、対象製品の輸入が米国の安全保障を損なう恐れがあると商務省が判断した場合に、当該輸入を是正するための措置を取る権限を大統領に与えている(注)。米政府は3月23日、同法に基づき、鉄鋼とアルミニウムの輸入に対して追加関税を賦課している(2018年3月27日記事参照)。

自動車部品も調査対象に

商務省は今回発動する232条調査について、「スポーツ用多目的車(SUV)、バン、小型トラックなどを含む自動車や同部品の輸入が米国の安全保障の脅威となっていないか」を調査するとした。

ロス商務長官は「数十年にわたり、海外からの輸入がわれわれの国内自動車産業を侵食してきたこと示唆する証拠がある」として、輸入制限措置の導入に積極的な姿勢を示した。商務省は「米国で販売された乗用車のうち、輸入車が占める比率は過去20年で32%から48%に増加した。米国人が記録的な自動車購入を続ける一方、1990~2017年の間に自動車製造に従事する雇用者数は22%減少した」と述べている。

なお、「ウォールストリート・ジャーナル」紙(電子版5月24日)は、「トランプ大統領は25%程度の関税賦課を要求している」との関係者の声を紹介している。

最先端技術の開発への影響も懸念

商務省はまた、自動車や同部品の製造が衰退することにより、コネクテッドカー、自動走行車、燃料電池、電動モーター・蓄電池などの最先端技術に関わる研究開発や技能労働者数が減少する恐れがないかも判断基準に含めるとしている。

232条は商務省に対して、調査結果と大統領への提言(大統領による対応を求めるか否かを含む)をまとめたレポートを、調査開始から270日以内に大統領に提出することを求めている。大統領は、同レポート受理後90日以内に商務省の決定に同意するかを判断し、同意する場合には、輸入是正措置の内容や期間などを決定する必要がある。

商務省は、本件に関する公聴会の日付やパブリックコメントの手続きを官報で後日、別途発表する。

(注)232条調査の概要については2017年4月24日記事参照

(鈴木敦)

(米国)

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