米政府、鉄鋼とアルミニウムへの関税賦課を開始-通関手続きや製品別除外申請に関する規定の詳細を発表-
(米国)
ニューヨーク発
2018年03月27日
1962年通商拡大法232条に基づく鉄鋼とアルミニウムへの関税賦課が3月23日から始まった。税関国境保護局(CBP)は、対象品目の通関に係る手続きを発表した。また、22日に署名された大統領宣言には、米国事業者の製品別適用除外の申請により関税が免除される製品輸入について、免除決定までに支払った関税を払い戻す規定が盛り込まれている。ただし、払い戻しの期間は適用除外申請がパブリックコメントに付された日を起点にしており、当該製品を輸入する米国事業者は、迅速に適用除外申請を行う必要がある。
輸入申請時には特別な関税コードの記載も必要
税関国境保護局(CBP)は3月23日、1962年通商拡大法232条に基づく関税の徴収を開始した。本措置の適用除外国(カナダ、メキシコ、オーストラリア、アルゼンチン、韓国、ブラジル、EU加盟国)以外の国からの鉄鋼製品の輸入に25%、アルミニウム製品の輸入に10%の関税が追加で課される。
CBPのウェブサイトによると、追加で関税支払いが必要となる輸入(注1)の申請時には、輸入者は通常の関税コード(HTS)のほか、鉄鋼は「9903.80.01(25 percent ad valorem additional duty for steel mill products)」、アルミニウムは「9903.85.01(10 percent ad valorem additional duty for aluminum products)」の関税コードを併せて記載する必要がある。
なお、外国貿易地域(FTZ)に搬入された鉄鋼・アルミニウム製品についても、3月23日以降に販売を目的に米国内に持ち込む場合(注2)は、通常の関税に加えて232条の関税が賦課される(FTZ内で課税対象品目の鉄鋼およびアルミニウム製品を加工して作った製造品も232条の関税の適用対象)。
製品別適用除外の申請は迅速に
トランプ大統領が3月22日に署名した鉄鋼とアルミニウムの関税変更を命じる大統領宣言には、製品別適用除外が認められた製品輸入に関する関税払い戻しの手続きが規定されている。しかし、同規定は適用除外が認められた場合、「(米国内事業者による)適用除外申請の後に、パブリックコメントに付された日以降に支払った関税が払い戻し対象となる」としている。つまり、製品別適用除外が認められた際に、可能な限りの多くの関税の払い戻しを受けるためには、当該製品を輸入する米国内事業者は、迅速に適用除外の申請を行う必要がある(注3)。
なお、国別適用除外に基づき関税賦課が留保された前述の国に対する免税措置は2018年5月1日までとされた。適用除外は、鉄鋼やアルミニウムの輸入による米国の安全保障の脅威に対して満足のいく長期的な代替策が相手国から示されることなどを条件としており、トランプ大統領は5月1日までに適用除外の継続の要否を判断することになった。なお、適用除外国以外の国であっても、適用除外に関する米国との交渉は引き続き可能としている。
(注1)対象製品の詳細は2018年3月9日記事参照。
(注2)3月23日より前にFTZに持ち込まれた鉄鋼・アルミニウム製品も、同日以降に販売目的で米国内に持ち込まれる場合は232条関税の適用対象。
(注3)このプロセスの詳細は2018年3月22日記事参照。
(鈴木敦)
(米国)
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