WTO・他協定加盟状況

最終更新日:2023年02月13日

WTO(1995年1月1日加盟)
その他の協定:欧州経済領域(EEA)、安定化連合協定(SAA)、関税同盟、連合協定(AA)、自由貿易協定(FTA)など。

概要

欧州連合(EU)では、理事会による授権(mandate)に基づき、欧州委員会がWTOを含む通商協定の交渉を行う(EU運営条約207条および218条)。欧州委員会は、授権の際の交渉指令に基づき単独で交渉にあたり、都度、加盟国により構成される委員会に交渉状況を報告する。交渉妥結後、理事会の決定に基づき、協定への署名がなされる。また、協定発効のためには、欧州議会の同意が必要となる。

なお、リスボン条約は、サービス貿易、貿易関連の知的財産権だけでなく、外国直接投資も共通通商政策の対象とし、EUの排他的権限に属することを明らかにした。理事会の議決は、特定多数決によってなされる。ただし、文化的、視聴覚的サービスに関するもので、EUの文化的・言語的多様性を害する危険のあるものなどについては、全会一致が求められる。

また、協定がEUの排他的権限に属する分野だけでなく、加盟国との共有権限に属する分野も対象とする場合には、協定発効のためには、理事会の決定、欧州議会の同意だけでなく、加盟各国の批准も必要となる。

EUと英国は2020年1月24日、双方で合意した離脱協定に署名し、同30日に批准手続きを完了した。これにより、英国は2020年1月31日付けで、同協定に基づきEUから離脱した。EUと英国は2020年12月24日、通商・協力協定(TCA)に合意、EU側の暫定適用の手続きと英国側の批准手続きが同年中に終了し、2021年1月1日から同協定の暫定適用が開始された。その後、欧州議会が2021年4月27日に、同協定の署名に同意したことを受け、EU理事会は同月29日に承認、批准手続きが完了し、同協定は2021年5月1日より正式に発効した。

主な協定

1995年1月1日のWTO設立時に、EUの前身である欧州共同体(EC)が加盟。その他の主な通商協定は次の表のとおり。

名称 参加国・地域(加盟状況)
欧州経済領域(EEA) 欧州自由貿易連合(EFTA、スイスを除く)(1994年発効)
安定化・連合協定(SAA)
  • 北マケドニア(2004年発効)(注1)
  • アルバニア(2009年発効)
  • モンテネグロ(2010年発効)
  • セルビア(2013年発効)
  • ボスニア・ヘルツェゴビナ(2015年発効)
  • コソボ(2016年発効)
関税同盟 トルコ(1995年発効。工業製品および農産加工品が対象)
連合協定(AA)
地中海(Euromed)
  • パレスチナ自治政府(1997年発効。FTAを含む暫定連合協定)
  • チュニジア(1998年発効)
  • モロッコ、イスラエル(2000年発効)
  • ヨルダン(2002年発効)
  • エジプト(2004年発効)
  • アルジェリア(2005年発効)
  • レバノン(2006年発効)
  • シリア(2008年に暫定連合協定に仮調印)

東方パートナーシップ
  • ウクライナ(2016年1月に暫定適用開始)
  • モルドバ、ジョージア(2016年発効)

中米諸国
  • ホンジュラス、ニカラグア、パナマ(2013年8月に暫定適用開始)
  • コスタリカ、エルサルバドル(2013年10月に暫定適用開始)
  • グアテマラ(2013年12月に暫定適用開始)
アンデス共同体(貿易協定)
  • ペルー(2013年3月に暫定適用開始)
  • コロンビア(2013年8月に暫定適用開始)
  • エクアドル(2017年1月に暫定適用開始)
その他中南米
  • メキシコ(経済パートナーシップ・政策調整・協力協定、2000年発効、同協定を近代化するための再交渉が2018年4月に妥結済)
  • チリ(連合協定、2003年発効、FTA部分について近代化のため再交渉中)
自由貿易協定(FTA)
  • スイス(1973年発効)
  • 韓国(2015年発効)
  • シンガポール(2019年11月発効)
  • カナダ(包括的経済貿易協定(CETA)、2017年9月21日に暫定適用開始)
  • ベトナム(2020年8月発効)
  • 日本(日EU経済連携協定(EPA)、2019年2月発効)
  • メルコスール(2019年6月大枠合意)
  • 英国(通商・協力協定(TCA)、2021年5月発効)

(FTA交渉中)オーストラリア、ニュージーランド、インドネシア、チリ、フィリピン 他
アフリカ・カリブ海・太平洋(ACP)諸国経済パートナーシップ協定(EPA)
西部アフリカEPA交渉グループ
  • コートジボワール(2016年9月に暫定協定(注3)の暫定適用開始)
  • ガーナ(2016年12月に暫定協定(注3)の暫定適用開始)
  • 西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)・同経済通貨同盟(UEMOA)(2014年に仮調印)
中部アフリカEPA交渉グループ
  • カメルーン(2014年8月に暫定協定(注3)の暫定適用開始)
東南部アフリカEPA交渉グループ
  • モーリシャス、セーシェル、ジンバブエ、マダガスカル(2012年5月に暫定協定(注3)の暫定適用開始)
  • コモロ(2019年2月に暫定協定(注3)の暫定適用開始)
東アフリカ共同体(EAC)EPA交渉グループ
  • ケニア、ブルンジ、ルワンダ、タンザニア、ウガンダ(2007年に、主に物品貿易を扱うEPAの枠組み協定に仮調印)
  • 東アフリカ共同体(2014年に交渉妥結)
南部アフリカEPA交渉グループ
  • ボツワナ、レソト、エスワティニ(旧スワジランド)、ナミビア、南アフリカ共和国(2016年6月調印、同年10月に暫定適用開始)(注2)
  • モザンビーク(2016年6月調印、2018年2月に暫定適用開始)
カリブ海諸国
  • カリブ海諸国15カ国(CARIFORUM、2008年12月に暫定適用開始)
太平洋諸国
  • パプアニューギニア(2011年に暫定協定(注3)批准)
  • フィジー(2014年7月に暫定協定(注3)の暫定適用開始)
  • サモア(2018年12月に暫定協定(注3)の暫定適用開始)
  • ソロモン諸島(2020年5月に暫定協定(注3)の暫定適用開始)

(注1)2019年2月12日、ギリシャ・マケドニア間のプレスパ合意が発効したことに伴い、マケドニア旧ユーゴスラビア共和国の国名は「北マケドニア共和国」と改称された。
(注2)EUと南部アフリカEPA交渉グループの経済パートナーシップ協定(EPA)の暫定適用開始に伴い、EUと南アフリカ共和国の間の貿易・開発・協力協定(TDCA、2004年発効)の貿易関連条項は適用中止されている。EPAの正式発効とともに、TDCAの貿易関連条項は廃止される。
(注3)暫定協定(interim agreement/stepping stone agreement)とは、地域間の包括的な協定合意に至るまでの経過的な合意で、協定の対象分野が限られ、協定の締結相手が地域全体ではなく国となる場合もある。ただし、適用には通常の手続きを必要とする自立した協定となる。

自由貿易協定、関税同盟、特恵貿易協定、その他の貿易協定

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ジェトロ:世界のFTAデータベース