米国で新型コロナの緊急事態が解除、ワクチンや検査の政府補償には経過措置
(米国)
ニューヨーク発
2023年05月12日
米国では現地時間の5月11日をもって、新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)に関する国家緊急事態と公衆衛生緊急事態が解除された。
これに伴い、連邦政府が講じてきた各種の関連措置が変更となる。例えば、外国籍の入国者および連邦政府職員、連邦政府との契約業者に対するワクチン接種の義務付けを撤廃した(2023年5月8日記事参照)。国境管理の面では、感染症の拡大防止を理由に亡命申請者を即時に本国へ強制送還する権限を政府に与えていた「タイトル42」が終了となり、代わって、無許可入国者および米国滞在の法的根拠を確立できない者を強制送還する権限である「タイトル8」が有効となった(2023年5月11日記事参照)。
また、これまで連邦政府が基本的に全額を補償してきたワクチン接種や検査にかかる費用は原則、通常の保険市場に委ねられる。ただし、バイデン政権はいずれも5月12日から即時に廃止とするのではなく、経過措置を設けるとしている。ホワイトハウスが公表した、政権による緊急事態解除後の対策をまとめたファクトシートでは、まずワクチンに関して、数カ月間は政府からの提供に影響はないとしている。ワクチン提供が通常の保険市場に移行した後には、保健福祉省が運営する「新型コロナワクチン・治療薬ブリッジ・アクセス・プログラム」を通じて、無保険者に対する提供が継続される。検査に関しては、5月末までは「COVID.gov」を通じて全ての米国内居住者が検査キットを入手できるとしている。また、無保険者に対しては、「地域単位での検査アクセス向上プログラム(ICATT)」を通じて検査へのアクセスを提供し続けるとしている。
政権はこのほか、今後も疾病予防管理センター(CDC)を通じて、国内各地域での新型コロナの感染リスクや国内外での新たな変異株に関する情報提供を続けるほか、将来に向けた対策として、官民連携のプロジェクトに50億ドルを投じて、次世代の新型コロナワクチン・治療薬の開発を促進してくことなどを挙げている。
(磯部真一)
(米国)
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