ブリンケン米国務長官、中国の気球問題を受け訪中延期、気球は撃墜

(米国、中国)

ニューヨーク発

2023年02月06日

米国国務省は2月3日、中国による偵察を目的としたと思われる気球が米国上空に侵入した問題を受けて、2月5~6日で予定していたアントニー・ブリンケン国務長官による中国への訪問を延期すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

ブリンケン長官の訪中は、2022年11月に実現したジョー・バイデン大統領と中国の習近平国家主席の初の対面会談(2022年11月15日記事参照)のフォローアップとして準備してきたもの。しかし、2月2日に中国のものとされる気球が米モンタナ州上空を飛行していることが確認されたことを受けて、ブリンケン国務長官の訪中延期を決定した。国務省は3日の記者会見で、ブリンケン国務長官が同日朝に中国の王毅共産党中央外事工作委員会弁公室主任と電話会談を行ったことを明かし、中国の行為は無責任で明白な米国の主権と国際法の侵害であり、訪中の目的を損なうものとした上で、現時点で北京を訪問するのは適切ではないと伝えたとした。一方で、状況が許せば再び訪中を検討するとして、中国との対話ラインを開放し続けるとした。

今回の出来事は米連邦議会の対中強硬姿勢を一層強めることにもつながりそうだ。下院で1月に設立された「米国と中国共産党間の戦略的競争に関する特別委員会」(2023年1月12日記事参照)委員長のマイク・ギャラガー議員(共和党、ウィスコンシン州)と少数党筆頭理事のラジャ・クリシュナムルティ議員(民主党、イリノイ州)は共同で「今回の出来事は中国共産党の脅威が対岸にあるのではなく、国内で起きていることを示しており、われわれはこの脅威に対抗しなければならない」との声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを出している。下院外交委員長のマイケル・マコール議員(共和党、テキサス州)は、バイデン政権は気球がアリューシャン列島上空を飛行していた段階から認識していたと指摘し、「米国の空域への侵入を許してはならなかったにもかかわらず、バイデン政権がそれを許したため、今や直接的かつ継続的な国家安全保障上の脅威になっているとともに、米国市民のプライバシーを脅かしている」と政権を批判する声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを出している。バイデン政権は今後、中国との関係のみならず、議会との関係でも難しいかじ取りを強いられそうだ。

なお、米国防省は2月4日、サウスカロライナ州沖で気球を撃墜したことを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。バイデン大統領は撃墜したパイロットを称賛する外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます一方、中国側は抗議する意思を示している。

(磯部真一)

(米国、中国)

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