バイデン米大統領、中国の習国家主席と初の対面会談、対話継続で合意
(米国、中国、台湾、北朝鮮)
ニューヨーク発
2022年11月15日
米国のジョー・バイデン大統領は11月14日、インドネシア・バリ島で中国の習近平国家主席と対面での首脳会談を行った。バイデン大統領が2021年1月に就任して以来、両首脳はこれまでに5回、バーチャルまたは電話形式で会談を行っているが、対面では初となる。
米中関係は、特にトランプ前政権時から緊張が高まったが、バイデン政権も安全保障問題や、新疆ウイグル自治区や香港での人権問題に加え、台湾海峡問題などで強硬な姿勢を崩さず、ときにはトランプ前政権より厳しい対中措置に踏み込んできた(2022年9月16日地域・分析レポート参照)。さらに、2022年8月にはナンシー・ペロシ下院議長(民主党、カリフォルニア州)が台湾を訪問したことを受けて、中国側が対抗措置を発表するなど、米中関係は一層緊張化した(2022年8月9日記事参照)。
こうした中、今回の首脳会談が両国関係の緊張緩和につながるかが注目された。共同声明などの発表はないものの、ホワイトハウス公表の会談要旨では、簡素な内容だった過去5回のものと比べると、意見を交わした議題や両首脳で合意した点が含まれ、厚みのある内容となっている。それによると、バイデン大統領は習主席に対して、米国は中国との競争は継続するが、それが衝突に発展してはならないとし、両国は責任を持って競争を管理し、開放された対話のラインを維持することが重要と伝えたとしている。この点は、会談後にバイデン大統領が現地で行った記者会見でも強調しており、記者の問いにも「新冷戦の必要はないと固く信じている」とした。バイデン大統領から習主席に伝えた懸念としては、新疆ウイグル自治区やチベット、香港を含む幅広い人権問題、台湾に対する中国の高圧的な行動、非市場経済的な慣行、不当に拘束されている米国人の問題が列挙されている。台湾については、米国の「一つの中国政策」に変更はないとし、いずれかによる一方的な現状変更に反対するとしている。記者会見で中国に台湾侵攻の意図があるかと問われた際には、「差し迫った計画はないと考える」との見方を示した。北朝鮮については、中国が同国を制御できる力があるかは不透明としつつ、習主席に「北朝鮮が長距離(ミサイル)・核実験を行わないよう説得する義務があると伝えた」とした。
両首脳で合意した点については、気候変動や国際的なマクロ経済の安定、健康安全保障、食料安全保障を含む国境を越える課題での協力の継続が挙げられ、両国政府の担当高官によって建設的な努力を深めることで合意したとしている。また、ロシアがウクライナでの戦争で核使用を示唆している点について、両首脳はウクライナでの核使用またはそれを脅しとして使用することに反対することで合意したとしている。最後に、両首脳は対話を継続すべく、アントニー・ブリンケン国務長官が訪中することで合意したとしている。
(磯部真一)
(米国、中国、台湾、北朝鮮)
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