バイデン米大統領の一般教書演説、超富裕層や自社株買いへの増税などを提案
(米国)
ニューヨーク発
2023年02月08日
米国のジョー・バイデン大統領が2月7日に行った就任後2回目の一般教書演説では、内政・外交の話題に加えて(2023年2月8日記事参照)、自身のこれまでの経済政策について言及した。バイデン大統領は「この2年間で1,200万の雇用を創出した。これは過去の全ての大統領の4年間の実績を上回っている」「製造業では80万もの高給の雇用を創出しており、これは過去40年間で最大だ」「失業率は3.4%で50年ぶりの低水準、黒人およびヒスパニック系の労働者の失業率も記録的な低さだ」(2023年2月7日記事参照)「インフレ率は過去6カ月間、毎月低下し、手取り賃金は上昇している」などと語り、大統領就任後の、経済政策による経済回復の実績をアピールした。
また、インフラ投資雇用法(2021年11月9日記事参照)によって各地で進行しているインフラ投資の進捗をアピールするとともに、同法に投票した共和党議員に対して謝意を述べた。一方で、インフレ削減法(2022年10月6日付地域・分析レポート参照)によって高齢者のインスリン費用を月額35ドルに抑えるなどの医療費負担削減をアピールした祭には「一部の議員は(こうした医療費負担削減部分の)インフレ抑制法を廃止すると脅迫している」「(処方薬のコストを上げようとするのであれば)私は拒否権を行使する」と牽制した。
インスリンに関して、バイデン大統領は演説の中で高齢者だけでなく、全ての米国人のインスリン使用の月額上限を35ドルにすることを今回新たに提案した。また、超富裕層は節税対策などにより、資産の増加分に対する実際の納税額の割合は低いため、バイデン大統領は、超富裕層が実質的に支払う税率は、現状教師や消防士よりも低く、これは不公平だとして、超富裕層の株式などの資産の含み益に最低税率を設けるとしたほか、企業の自社株買いへの課税率を、現状の1%から4倍に引き上げることも今回新たに提案した。こうした新たな提案は3月9日に議会に提出される翌年度予算案に何らかのかたちで盛り込まれる可能性がある。
調整が難航している債務上限問題(2023年2月2日記事参照)に関連しては、バイデン大統領は「私の政権で財政赤字は1兆7,000億ドル以上削減されており、これは史上最大の赤字削減だ」と述べ、歳出削減を求める共和党を牽制するとともに、「(われわれが)来月、予算を議会に提出する際には、共和党の予算案の提出もお願いしたい。ともに双方の計画について議論したい。私の予算案は2兆ドル赤字を削減する」と述べて、歩み寄りの姿勢も示した。
(宮野慶太)
(米国)
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