1月の米小売売上高は前月比3.0%増、市場予想上回り3カ月ぶりに増加
(米国)
ニューヨーク発
2023年02月16日
米国商務省の速報(2月15日付)によると、1月の小売売上高(季節調整値)は前月比3.0%増の6,970億ドルと、3カ月ぶりの増加に転じ(添付資料表参照)、ブルームバーグがまとめた市場予想の2.0%増を上回った。なお、2022年12月の売上高は、前月比1.1%減(速報値)から改定されなかった(2023年1月19日記事参照)。
自動車・同部品、フードサービス、総合小売りなどが押し上げ要因に
売上高の増加は13業種全てにわたった。業種別にみると、自動車・同部品が前月比5.9%増の1,315億ドル、寄与度プラス1.08ポイントで、全体を最も押し上げた。次いで、フードサービスが7.2%増の955億ドル(寄与度プラス0.95ポイント)と、新型コロナウイルス禍に伴う大型の給付金が支給された2021年3月(14.1%増)以来の増加幅となった。そのほか、総合小売りは3.2%増の716億ドル(同プラス0.32ポイント)で3番目に増加に寄与した。
今回の発表を受けて、NRFのチーフエコノミスト、ジャック・クラインヘンズ氏は売上高が増加した背景について、雇用市場の堅調さや賃金の増加に加えて、インフレ率の緩やかな低下、2月前に暖冬傾向が続いていたことが寄与したと述べた。また、同氏は「社会保障費の大幅な調整により、社会保障受給者がより多くのお金を使えるようになったほか、依然として多くの消費者が(新型コロナウイルスの)パンデミックの間に積み立てた貯蓄を利用している」と指摘した。米社会保障庁(SSA)は2022年10月、新型コロナ禍での物価上昇を受けて、社会保障給付と補足的保障所得(SSI)の支給額を8.7%引き上げると発表した。全体で約7,000万人の米国民が引き上げ対象となっており、同年12月からSSIの支給引き上げが開始されたことが売上高全体にも寄与したと分析している。
また、民間調査会社コンファレンスボードが1月31日に発表した1月の消費者信頼感指数は107.1と、12月(109.0)より1.9ポイント減少し、2カ月ぶりの低下となった(添付資料図参照)。内訳をみると、現在の雇用環境や経済状況を示す現況指数は150.9(12月:147.4)で3.5ポイント上昇した。一方、6カ月先の景況見通しを示す期待指数は77.8(12月:83.4)で5.6ポイント減少した。期待指数が80を下回ると景気後退のリスクが高まっていることを示しており、先行きに対する消費者の懸念は依然として高止まりしている。
コンファレンスボードの経済指標シニアディレクターのアタマン・オジルディリム氏は「1月の消費者信頼感は低下したものの、2022年で最低だった7月の水準はまだ上回っている」としており、現在の景況や労働市場に対する消費者の評価は改善していると評価した。一方で「自動車や家電製品の購入計画は安定しているが、新築・中古住宅を購入する予定の消費者は減少している」とも指摘した。先行きについては、消費者の短期的な労働市場に対する見通しはさほど楽観的ではなく、短期的には景気が悪化するとの見方もあると述べた。
(樫葉さくら)
(米国)
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