米シェブロン、シンガポールのセムコープ・マリンと低炭素型LNG船隊改造プロジェクト発表

(米国、シンガポール)

ヒューストン発

2023年02月28日

米国石油大手シェブロン(本社:カリフォルニア州サンラモン)は2月26日、米国子会社のシェブロン・シッピング・カンパニーを通じて、シンガポールのエンジニアリング企業セムコープ・マリンの子会社であるセムコープ・マリン・リペア・アンド・アップグレーズと、シェブロンが保有する液化天然ガス(LNG)船隊の運航に伴う炭素強度(注1)の削減で提携したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

発表によると、セムコープ・マリンは、複雑なLNG船隊の改造に関する専門的な知見を有し、海事産業向けの低炭素ソリューションの実績がある。同社はシェブロンに対し、設計・調達・施工・試運転(EPIC)サービスを提供し、2025年半ばまでにシェブロンが保有するLNG船隊の改造を完了させるという。

シェブロンは、再液化システム、新しいガス圧縮機などからなるセムコープ・マリンの新技術導入により、LNG輸送に伴う二酸化炭素(CO2)排出量削減を目指すとしている。これにより、LNG貨物のボイルオフ・ガス(注2)の減少、船舶燃料消費量の削減、LNG貨物輸送量の増加が期待され、国際海事機関(IMO)の脱炭素化目標(注3)の達成にも貢献できるという。

シェブロンの直近の脱炭素化事業には、2023年1月のメキシコ湾岸の大規模水素ハブ開発コンソーシアムを通じた水素事業の商業化加速や(2023年2月7日記事参照)、2月の循環型燃料経済拡大に向けた使用済み食用油のトラック燃料への再利用(2023年2月13日記事参照)などがある。

(注1)エネルギー単位当たりのCO2排出量、すなわちCO2排出原単位を示す。炭素集約度とも呼ばれている。

(注2)LNGのような低温液体を輸送・貯蔵する場合に、貯蔵タンク外部からの自然入熱などにより気化するガスのことを指す。

(注3)IMOが2018年4月に採択した「温室効果ガス(GHG)削減戦略」では、2008年を基準年として、2050年までに国際海運からのGHG総排出量を50%以上削減し、21世紀中のなるべく早期に排出ゼロとすることを目標としている。

(沖本憲司)

(米国、シンガポール)

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