1月のカナダ消費者物価指数、前年同月比5.9%上昇
(カナダ)
トロント発
2023年02月22日
カナダ統計局が2月21日に発表した1月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で5.9%上昇と、2022年12月の上昇率(6.3%、2022年1月19日記事参照)を0.4ポイント下回って伸びが減速した。食料品価格や住宅ローン金利の上昇幅が大きかったが、携帯電話サービス料の下落や乗用車の上昇幅鈍化が寄与し、上昇率は抑えられた(添付資料表参照)。
統計局によると、家庭用食品と外食を合わせた食料品は、12月(前年同月比10.1%上昇)に続いて1月は10.4%上昇へと伸びが加速した。食料品は2022年9月以降、前年同月比で10%以上の上昇を続けている。
また、住居関連のうち住宅ローンは、金利上昇(2022年1月26日記事参照)を受け、前年同月比が12月の18.0%上昇に続いて1月は21.2%上昇となり、1982年9月以降最大の上昇率になった。ただし、住宅市場は冷え込みが続いており、持ち家の建て替え費用(前年同月比4.3%上昇)やその他の持ち家費用(1.1%上昇)の伸びは引き続き減速し、「住居関連」全体では、12月の前年同月比7.0%上昇に比べて、1月は6.6%上昇と伸びが鈍化した。
さらに、「家庭関連・家具・器具」のうち、携帯電話サービス料は、前年同月比で12月の2.5%上昇から1月は7.9%下落に転じた。統計局では、例年12月に行われる「ボクシングデー」のセールが1月にも一部残っていたことを主因として指摘している。加えて、「交通機関」のうち乗用車は、前年同月比で12月の7.2%上昇から1月には6.2%上昇へと減速した。サプライチェーンの制約が続いていた2022年1月に、同価格が前月比で0.9%上昇したことによる基準年効果や、2023年1月の新型車の在庫が2022年1月に比べて少ないことも、減速に寄与している可能性があるという。
発表を受けて、CIBCキャピタルマーケッツのシニアエコノミスト、アンドリュー・グランサム氏は「カナダ中央銀行がすでにインフレ抑制に十分な手立てを打っていることを示唆している。インフレ率(5.9%)とコア・インフレ率(5%前後)は依然として中銀の目標である2%を大幅に上回っているが、5月には2022年の最大月次物価上昇率が年間計算から外れるため、これらの数字がかなり低くなると予想される」として、「5月までにインフレ率は3%未満に緩和すると予想されるものの、食品価格や住宅ローン金利が引き続き高水準で推移し、年後半にかけては年率2~3%の間でとどまると思われる。このことから、当行では、2024年初頭まで(中銀は)追加利上げも利下げも行わないと予測する」とコメントした(CIBCエコノミック・フラッシュ2月21日)。
中銀の次回政策金利の発表は2023年3月8日に予定されている。
(飯田洋子)
(カナダ)
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