カナダ中銀、政策金利を0.25ポイント引き上げ4.5%に、今後の利上げのいったん停止を示唆

(カナダ)

トロント発

2023年01月26日

カナダ中央銀行は1月25日、政策金利を0.25ポイント引き上げ、4.5%とすると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。利上げは2022年3月以来8会合連続で、10カ月間で4.25ポイントの引き上げとなる。

さらに中銀は、今後の政策金利について、経済情勢が金融政策報告書の見通しにほぼ沿って推移した場合には、利上げの効果を見極める間は「現在の水準を維持する」と表明した。ただし、「インフレ率を目標の2%に戻すために必要であれば、政策金利をさらに引き上げる用意がある」とも述べた。

カナダ経済の現状については、「経済成長は予想を上回り、景気は依然として需要超過の状態にある」としながらも、消費の伸びの鈍化や住宅市場活動の低下など、金融引締め政策による家計支出の減速が見え始めているとした。今後の見通しとして、利上げの影響が経済に浸透する中、消費者サービス支出や企業投資は減速が見込まれ、外需の停滞が輸出の伸びを抑えることから「全体的な経済活動は鈍化し、供給が需要に追いつくことが予想される」との見方を示した。同日発表の金融政策報告書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、2022年のカナダGDP成長率を3.6%と推定しており、2023年は1.0%、2024年は1.8%と予想している。

また、消費者物価指数(CPI)の上昇率は、2022年6月の8.1%に比べ12月には6.3%と鈍化(2023年1月19日記事参照)したものの、食料品や住居費の上昇が家計に重くのしかかっているとした。ただし、3カ月前比年率換算CPI上昇率は約3.5%まで低下し、今後数カ月で大幅に減速することを示唆しているとして、2023年のCPI上昇率を3.6%、2024年には2.3%まで低下すると予想した。

発表を受け、モントリオール銀行(BMO)のマネジング・ディレクター、ベンジャミン・レイツ氏は「中銀は予想どおり0.25ポイントの利上げを実施し、世界の中央銀行で初めていったん停止を示唆したことで、再び先頭を走っている」として、追加利上げのハードルはかなり高いことから3月の利上げを見送る可能性が高いとし、「4月の政策決定は、それまでに雇用統計やCPIデータの発表が行われるため、(今回よりも)さらに決定的なものになるだろう。当行では、中銀が2023年通年を通じて(政策金利を)維持するものと引き続き予想する」とコメントした(BMOエコノファクツ1月25日)。

今後の政策金利発表は3月8日、4月12日に予定されている。4月12日には金融政策報告書も併せて発表される予定で、同報告の中で経済とインフレに関する見通しが明かされる予定となっている。

(飯田洋子)

(カナダ)

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