米連邦下院議長選、3日目も事態を打開できず
(米国)
ニューヨーク発
2023年01月06日
米国連邦議会下院は1月5日、3日目となる議長選出の投票に臨んだが、依然として全議員の過半数から支持を得た候補者は出なかった。第118議会の開始から3日がたってもなお、通常の議事運営に移行できない異例の事態に発展している。
新議会の1~2日目までには計6回の投票が行われていたが、いずれも共和党内の保守派議員らが同党下院トップを長く務め、議長選出が有力視されていたケビン・マッカーシー議員(カリフォルニア州)への支持を拒んだため、議長選出には至らなかった(2023年1月5日記事参照)。3日目は7~11回目の投票が行われたが、いずれも共和党内の分裂は収拾できず、議長選出には至らなかった。10回以上の投票を要するのは、計44回の投票が行われた1860年以来とされる(CBSニュース2023年1月5日)。
3日目の動きとしては、新たな候補者として、共和党保守派のマット・ゲッツ議員(フロリダ州)がドナルド・トランプ前大統領を、ローレン・ボーバート議員(コロラド州)が同党のケビン・ハーン議員(オクラホマ州)を指名した点が挙げられる。ボーバート議員は、ハーン議員が党を結束させると主張した一方で、ハーン議員自身は一貫してマッカーシー議員に投票している。3日目最後となった11回目の投票結果は、民主党の全議員(212人)が同党下院トップのハキーム・ジェフリーズ議員(ニューヨーク州)に投票し、共和党議員は全222人のうち、マッカーシー議員に200票、バイロン・ドナルズ議員(フロリダ州)に12票、ハーン議員に7票、トランプ前大統領に1票、賛否を示さない出席(present)票に1票を投じ、1人は棄権だった。事態打開に向けた道筋が見いだせない状況が続いている。
このような事態を受けて、共和党内の主流派からは、下院が果たすべき安全保障政策の監視に着手できないとの懸念が示されている。新議会で下院の外交委員会、軍事委員会、情報委員会の委員長に就任することが確実視されている共和党のマイケル・マコール議員(テキサス州)、マイク・ロジャーズ議員(アラスカ州)、マイク・ターナー議員(オハイオ州)は1月5日に連名で声明を出した。3議員は、マッカーシー議員の下院議長選出を支持するとともに、それが遅れれば「バイデン政権は何の制約を受けず、ホワイトハウス、国務省、国防総省または諜報機関に対する監視が全くなくなる。われわれは個人的な政治が米国の安全保障をリスクにさらすことを許してはならない」と強調した。
(磯部真一)
(米国)
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